機関紙 - シリーズ 発言 2 〜待ったなしの子どもの貧困対策。地方自治体が率先して・・・〜
待ったなしの子どもの貧困対策。
地方自治体が率先して・・・・・・
府職労健康保健支部 Dさん
児童相談所で保護者からの相談や虐待通告の対応の仕事に携わっていると、子どもたちの生活に貧困の問題が深い影を落としている事例に突き当たります。
弁当を作ってもらえないから登校できない子、家が貧しいからと高校進学の夢をあきらめ不登校になってしまった子など、次代を担う子どもたちが学び、育ち、人間らしく生きていく環境が脅かされているのです。
そして、その背景に、今日の親たちの働き方、働かせられ方の問題、国民を守るべき社会保障制度の不十分さがあると思います。
不況で勤務先が倒産あるいはクビになった。仕事があっても、パートや派遣などの不安定で低賃金な仕事。長時間過密労働で深夜帰宅したらもうクタクタ、子どもに関わっている時間など持てないという父。昼間の工場と夜のコンビニのダブルワークで、「家がゴミ状態」という母子家庭の母など。OECDの国際比較で、所得再配分後の貧困率が上昇しているのはわが国だけという結果や、働くひとり親家庭の貧困率が際だって高いこともそのことを証明しています。
虐待というとよくマスコミ報道される「鬼のような親」を想像しがちですが、私たちが関わる虐待事例の保護者の多くは、そんなふうにまじめに働き、生活しているけれど、貧しさ、忙しさから、「ついついイライラして子どもを叩いてしまった」とか、「育児怠慢など不適切な関わりをしてしまった」というような例なのです。
2008年度に、全国の児童相談所が受理した虐待相談件数は、42、664件(厚生労働省発表・速報値)に達し、市町村が受けつけた相談は、ダブりがあるとは言えそれ以上の数字になることは間違いありません。
子ども手当支給にとどまらず、すべての教育の無償化、保育所の拡充、子どもの医療費の無料化そして税や雇用の不公平をなくしていくことが求められます。名前を変えたとしても逆進性の消費税増額などもってのほかです。
国だけではなく、地方自治体が率先して取り組むべき第一の課題でもあるし、その意味で首長の姿勢が今問われていると思います。
京都自治労連 第1722号(2010年2月20日発行)より