機関紙 - 派遣から請負で大混乱 安心・安全に責任持つ直接雇用に戻せ
京丹後市は、市が100%出資する派遣会社「京丹後市総合サービス株式会社」を07年に設立し、学校・保育所の給食業務や用務員業務に携わっていた臨時職員を同社に移籍させ、ひき続き就労させてきました。
今年3月末で派遣期間の上限である3年をむかえるため、給食業務や学童保育を丸ごと派遣会社の「請負」に切り替えようとしており、職場が大混乱。京丹後市職労の金子書記長に問題点を語っていただきました。
京丹後市職労や京都自治労連は、「官製ワーキングプア」の改善が求められている時に、自治体の責任をあいまいにし、違法派遣・偽装請負を継続しようとするもので、請負は認めるわけにはいかない」と反対しています。
今までのような相談できない
京丹後市の学校給食は、保育所同様に学校ごとに調理する「自校調理方式」で、府職員の学校栄養士と市職員の調理師が協力して献立をつくり、調理についても連携して行ってきました。「請負」になると栄養士が調理師に直接指導すれば「偽装請負」になり、今までのような必要な相談が行えなくなります。子どもたちの食の安全・安心に支障をきたします。食育の観点からも問題があります。職場内の連携を充実させるためにも直接雇用とすることが必要です。
また市は、学校用務員については、派遣可能な「専門26業務」のうちの清掃業務だと強弁。派遣契約を続ける姿勢です。
保育のノウハウ有しているのか
学童保育の問題では、随意契約を行う場合、「総合サービス会社」に保育のノウハウがある事が前提とされています。ところが4月からは、土曜開所や保育対象をこれまでの3年生から4年生までに引上げることになっていますが、未だに受け入れ態勢や、勤務体制をどうするのか決まっておらず、直雇用の指導員に相談しているのが実態。指導員の技量に頼っているのが現状です。到底、保育のノウハウを有しているとはいえません。
「総合サービス株式会社」による派遣は、派遣先のほとんどが京丹後市(唯一の株主も京丹後市)で、特定の派遣先だけ派遣する「専(もっぱ)ら派遣」に該当、現行法でも違法の疑いがあります。
栃木県茂木町は直接雇用へ
京丹後市とまったく違った対応を行っているのが、栃木県茂木(もてぎ)町です。同町は、労働組合が偽装請負を指摘し、「地域経済や子どもの安全のためには、直接雇用が必要」との訴えに、3月10日、公立小中学校8校で民間委託している一人勤務の「用務員」7人を4月から嘱託職員として直接雇用すると回答しました。
直接雇用の年収は、224万円で、現行水準より20万円以上の賃上げに。一方、請負会社が得ていた収益がいらなくなる分、約1千万円の経費を節約できるとみられています。
京丹後でも、直接雇用に切り替えれば、請負会社への請負料や消費税が必要なくなり、その分、賃上げや経費節約に活かすことができるのです。
京丹後市当局は、このような事例にも学び、違法状態を解消するためにも、直接雇用に戻すべきです。
京都自治労連 第1724号(2010年3月20日発行)より