機関紙 - 原発立地調査に参加して関電原発マネーの脅威
3人の女の子の父としてつくづく思う 何かしなければ:宮津市職員組合 Tさん
「原発立地自治体財政分析と地域再生研究会」が、舞鶴市職労の提起を受けて、京都自治労連、立命館大学の森裕之教授、平岡和久教授、京都自治体問題研究所を中心に昨年秋からスタートしました。11月4日・5日、福井県大飯町に第一回目の現地調査を行いました。この調査団の中に、昨年から新しく宮津市職の役員になったTさんが参加しています。新鮮なTさんの存在は、調査団の大きなエネルギーとなっています。
Tさんは、国立舞鶴工業高等専門学校を卒業後、宮津市に勤務して14年、現在は上下水道室に勤務をしています。「舞鶴高専の山一つ越えたところに高浜原発がある。原発は“先進技術の塊”で、舞鶴高専の卒業生も原発で働いており、何の疑問も持たなかった」とTさん。
農道まで舗装されている
現地調査の感想をTさんは、「60数人の小学校校舎は冷暖房完備で20数億円。農道まで舗装されている。原発補助金や寄付金によって他では考えられない事例がたくさんあり、地元経済が関電に頼っている実態がよくわかった」「町民生活に関するあらゆるところに、関電の影響があり、なかなか『反原発』など口に出来ない雰囲気があることを実感できた。原発には、今日の日本の社会的構図が凝縮されているようだ」と話します。また、「大学教授など研究者と私たち素人も対等に話ができるところが魅力で楽しみ」と言います。
そして、「これからも研究会に都合がつけば積極的に出かけ、色々知っていかないと次のステップに行けない」とTさん。
"組合は反対ばかり" ではなかった
積極的なTさんですが、組合に対する思いは、全く違っていました。
「賃金のことばかりを言っているイメージがあり距離を置いていた」そうです。
ところが、京都自治労連の大会での池田委員長の「原発に反対するだけでなく、原発立地自治体が原発を廃止しても自立できる方向の提案を、福井に隣接する自治体労働組合として行わなければならない」という提案に興味がわき、「組合は反対だけ、お金だけではなかったとわかり一歩踏み出した」と振り返ります。
通勤時間を読書に
もうひとつ、Tさんを変えるきっかけがありました。最近よく本を読むようになったことです。子育てのこともあり宮津から実家の福知山に引っ越し、一時間ほどかけてKTRでの通勤になりました。
「初めはただ寝ているだけだったが、時間つぶしにと本を読みだした。すると、新しい知識を知ることの楽しさを実感。いかに自分が何も知らなかったのかを痛感した」とTさん。いまでは、電車の中で何もしていない高校生を見かけると「もったいないよ」と声をかけたくなるほどです。同時に、「“組合活動は学習だ”の意味が分かってきた。いつも新鮮な気持ちで、組合活動に向き合いたい」と話します。
「妻には、『最近よく本を買うね!』と驚かれ、“あまり組合に熱中しないで”と言われています」と苦笑い。
原発がない社会を一緒に
「私には、子どもが3人。5歳と3歳。二人目が双子で、みんな女の子」と目じりが下がります。
「子どもと一緒にいるとつくづく思うのは、私たち大人の責任を、子どもたちに負わせてはならない。子どもには何の責任もないのに放射能汚染は子どもが犠牲になる」「自分に何ができるか…、活動に参加することで何かしたい」とTさん。「子どもが安心して暮らしていける未来につなげようと小さい子どもをもつ世代に呼びかけたい。そのためにも、核や原発がない社会を一緒につくっていきましょう」。
京都自治労連 第1791号(2013年1月5日発行)より