機関紙 - アベノミクスの暴走政治から暮らし守る共同大きく
不当な賃下げは地域経済へ大打撃 ―民間機関が異例の調査―
松下卓充 京都自治労連賃金部長に聞く
国による地方公務員の給与削減強制の問題は、退職手当の大改悪に続く大幅な「賃下げ」攻撃という経済闘争の側面と、地方交付税削減とセットという政治闘争の側面、この2つの特徴を持ち合わせたものとなりました。
怒りを結集、地域にも打って出て
京都自治労連と単組は、?違法・不当な賃金削減強制は絶対に許さない、?少なくとも6月議会での条例改定はさせない、この2点を共通の獲得目標に据え、たたかいを進めました。具体的なたたかいとして、一つは職場・組合員の怒りを結集して「賃下げ」を許さない職場世論作りに奮闘しました。
もう一つは、企業内闘争だけでは限界があり、「公務員賃金はどうあるべきか、引下げだけでいいのか」と、思い切って外に打って出る取り組みを行いました。団結署名、集会、宣伝活動などとあわせ、街頭宣伝、経済団体申し入れ、賃下げ影響額試算や、記者会見などに取り組み、街頭宣伝でもこれまでとは違う反応がありました。また、京都総評はじめ、民間の労働者も「公務員の賃下げやめよ」と立ち上がり、官民一体のたたかいを展開したのも特徴的です。
内外高まった信頼組合加入にもつながる
「賃下げ」条例改正が強行され、職場からは、「仕事は前年の2倍になっているのに、賃金は下げられてモチベーションも維持できない」と、悲痛な叫びが出ています。
しかし、今回の賃下げ阻止のたたかいは、数多くの教訓を残しました。まず、政治的な圧力が強まる中、宇治・向日の2単組で6月議会見送りをさせたことは、国の強制を許さなかったという大きな到達を築きました。条例化された単組でも、削減率の圧縮、一時金カットなし、非正規雇用職員・関連職場への波及なしなど、経済闘争でも国の「強制」どおりの削減とさせず労働組合の役割を発揮しました。また、外に打って出るたたかいが、民間調査機関も注目し、「公務員の給与削減の影響は少なくなく、府職員の削減に限ってみてもGDPを0・145押し下げ、京都マラソンの経済波及効果35億円の3倍にあたる100億円のマイナス波及と試算する」など、社会的にみて公務員賃金が持つウエイトの大きさも明らかになり、今後の賃金闘争のありかたを示すものともなりました。
そして、賃下げ阻止で勇敢にたたかう労働組合の姿を見て、労働組合への信頼が高まり、組合加入につながる経験もつくりだしました。このように、多くで「賃下げ」は強行されたものの、今後のたたかいへの土台となるものも今回のたたかいの中で築き上げました。
京都自治労連は、単組と連帯し、ブロック別学習決起集会、単組と共同しての宣伝、署名活動、申し入れの提起、単組交渉への参加などとりくみました。このことが「国の強制どおり」の削減とさせなかったことにつながったと言えます。
一方、今回の問題が一単組だけでは突破できないものであるだけに、緊急の自治体・議会要請キャラバン、地域経済団体への申し入れ、山場での意思統一会議など、職場・単組と共同して実施すべきであったと言えます。
京都自治労連は、7月31日に第81回定期大会を開催します。大会で今回の賃下げ阻止のたたかいの教訓を大いに深め合い、新たな賃金闘争、労働組合運動の発展をめざしていきましょう。
京都自治労連 第1803号(2013年7月5日発行)より