機関紙 - 憲法に保障された権利があります
選挙が近づくと自治体当局はよく「選挙における服務規律の確保」などを通知します。しかし、公務員である前に国民です。憲法21条の「表現の自由」が認められていることを押さえておく必要があります。個人の活動や組合活動への干渉には機敏に反撃しましょう。
一般の職員にはほとんどありえない「地位利用」
地方公務員法36条による政治活動の制限は、「庁舎・施設利用の禁止」を除きその公務員が勤務している行政区内においてだけです。
地方公務員のうち、現業職員及び地方公営企業職員については、地公法上の制限規定の適用がありません。
公職選挙法で公務員が特別に受ける制限は、「公務員の地位を利用して」選挙運動をすることです。「その地位を利用して」というのは、「公務員としての地位にあるため、特に選挙運動を効果的に行いうるような影響力または便宜を利用すること」です。
たとえば、補助金の交付、事業の許可監督等の権限を持つ公務員が外郭団や請負業者等に対し、その職務権限を利用して選挙運動をするような場合をいうとされています。何の権限も持たない一般の公務員は対象とはなりえません。
地方公務員の場合は、現業職員・地公企職員についてはそもそも地公法の適用がありませんし、それ以外の公務員についても、制限される事項はごくわずかであり、加えて違反した場合でも刑事罰が科せられていないことを考慮すると、地公法による制約はほとんど気にせず他の民間労働者、一般市民とほぼ同様の選挙活動、政治活動ができるといって過言ではありません。
個人としての選挙活動は問題ありません
公務員についても、裁判官・警察官・徴税吏員などを除き、一般的に「選挙活動をしてはならない」という規定はなく、現行法令の範囲内でもさまざまな選挙活動ができるのです。
京都自治労連 第1730号(2010年6月20日発行)より