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機関紙 - 「住んでよかった」と言える魅力と誇りある地域を 〜「山城のまちづくりを考える」シンポジウム〜

「住んでよかった」と言える魅力と誇りある地域を 〜「山城のまちづくりを考える」シンポジウム〜

カテゴリ : 
組合活動
 2015/2/23 14:50

 「自治体消滅」論に対抗――2月14日、やまなみホール(南山城村文化会館)にて、南部自治体学校「山城のまちづくりを考える」が開催され、約100人が参加しました。実行委員会が主催、来賓として手仲圓容・南山城村長が開催地あいさつを行いました。

 シンポジウムでは、コーディネーターの田中康夫氏が「地方創生の問題は選択と集中。地域の中枢に人、モノ、金、機能すべてを集め地域全体を元気にしようとするもの。これはアベノミクスのトリクルダウンと同じ考え方」と指摘し、「人口減・高齢化は悪いことなのか、経済成長があれば地方は元気になるのか。経済成長型の価値観を転換し、誇りと魅力ある住み続けられる豊かな条件を備えていこう」などの問題提起を行いました。

 主催者を代表して中林浩実行委員長(京都自治体問題研究所理事長)があいさつ、木津川市、精華町、和束町、笠置町、南山城村、京都府、京都やましろ農協が後援しました。

地元産業の発展へ:吉岡さん

 吉岡克弘氏は、村の就農者の平均年齢が67歳となっている現状や、岩盤規制を取り払うとして農業への企業参入がすすむ動きに触れながら、JA京都やましろの取り組みとして、水稲育苗や野菜の栽培、販売など就農者支援を目的とする京都山城ファームの設立、産地育成を目的とした九条ネギやなす、お茶の共同選別出荷所の建設などを紹介。

「今後は農業の第六次産業化を視野に、南山城村の『道の駅』で展開したい」と述べ、「地元産業を守ることは地元地域を守ることにつながる。地元産業を発展させ、若い人が残る環境をつくっていきたい」と語りました。

地域資源を生かして:馬場さん

 馬場正実氏は、自他ともに認める「公私混同公務員」と自身を紹介。同世代が町外へ出ていく現状を目の当たりにしてきた中で、「このままでは町が無くなる」との思いから、「自分に出来ることは何か」「やる以上は楽しもう」「そうすればみんなで笑える」と活動に携わったきっかけに触れ、茶業を中心にした有機農業、都市農村交流を通じたまちづくり、他団体との共催による国際交流活動などの取り組みを報告。

現在では600人以上の若者が和束に出入りしていることも報告され、「自分たちがまちを誇りに思わないと前に進まない。ないものばかりねだらず、地域の資源を生かした持続可能なまちづくりをめざしたい」と思いを語りました。

人づくりから村づくりを:森本さん

 森本健次氏は、南山城村の人口や茶農家の推移を、資料を示して説明し、5年前から始まった魅力ある村づくりプロジェクトについて、?産業再生、?次世代担い手育成、?絆づくり、?南山城村保全―の4つを柱に掲げて取り組んでいることを紹介。

作り手と支え手が連携した農家の取り組みや廃校の利活用の取り組みに触れ、「道の駅を中心に4つの柱が循環する。地域で必要なことを住民自身が取り組み、サービスや利益を享受する地域内循環型産業システムをつくりあげたい」とし、「自治は一人ひとりの思いからなる。村づくりに必要なことは『人づくり』。自治を作っている一員との意識をもち、問題意識を共有することが大切」と語りました。

まちを盛りあげたい:向出さん

 向出健氏は、笠置町の高齢化率が43%と高く、20歳未満は人口1500人の中で1割に満たない現状の中で、「なんとかまちを盛り上げたい。まちに貢献したい」との思いで、地域の宵涼み会や秋祭りなどへの協力や、田植えなど子どもに体験してもらう中で、伝統の継承や笠置町への愛着、地域や人とのつながりをつくっている活動を報告。

「若い人たちが町外に出ていってしまう中で、笠置町に住んでいて良かった、とまちづくりの担い手として、まちの活性化や、地域に信頼される青年団として発展させていきたい」と語りました。 

来賓・開催地あいさつ
〜自治体のあり方をみんなで考えよう〜 
  南山城村長 手仲圓容さん

 消滅可能性自治体の府内トップになり、全国でも消滅可能性が17番目と報道された。少子高齢化の中でなんとか地域を残したいと職員自身の手で実態にあった総合計画をつくろうと取り組んできた。村民が夢を描ける村づくりをすすめたいと、農産物の販売以外に、コミュニティバス巡回や防災拠点などの機能をもつ「道の駅」を作ろうと計画。地域活性化に向けて村にある資源を生かした村づくりに取り組んでいる。

 地方創生と言われるが、グローバル化や規制緩和などの改革、国の政策が地方の現状を招いたのではないか。地方丸投げではなく、国が責任を持って取り組むべきだ。このシンポジウムを通してそれぞれの自治体がどうあるべきかをみんなで考える機会にしたい。


京都自治労連 第1842号(2015年2月20日発行)より

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