機関紙 - プラス勧告も「名ばかり改善」 学習を力に単組・職場で怒り集めて
「総合的見直し」推進で地域間格差拡大
「現給保障者」置き去り
8月6日、今年の人事院勧告(人勧)が出されました。その内容は、官民較差1,469円(0・36%)に基づく月例給引き上げ、一時金0・10月引き上げなど、2年連続のプラス勧告となりました。その一方で、官民較差の8割を地域手当改善に充てる不当な配分を行い、また民間でも5%しか実施していない「フレックスタイム制」導入を勧告するなど多くの問題をもつ内容です。
2年連続プラスも生活改善ほど遠く
人事院が認めた「見直し」の制度破たん
2年連続のプラス勧告となったことは、全労連・自治労連などが官民共同ですすめた「全労働者の賃上げで景気回復を」の賃上げ運動の反映といえますが、引き上げ額そのものは消費税増税や物価上昇分に追いつかず、生活改善につながるものとは言えません。
とりわけ問題なのは、官民較差の改善分(「改善原資」)の多くを職員全体の月例給引き上げではなく、「給与制度の総合的見直し」による地域手当の前倒し改定に充てたことです。「官民較差すべてを月例給の改善に充て、現給保障額を解消することは可能だったが、『見直し』を円滑にすすめる観点から8割を地域手当改善に前倒しで充てる手法を選択した」(近畿人事院での説明会)ことで、地域手当「ゼロ」や引き上げ対象ではない地域ではプラスどころかマイナス改定になってしまいます。
これは「見直し」による現給保障額を超えない範囲での月例給改定としたため、「改善原資」が余り、その分を地域手当引き上げ改定に回した、いわば「詐欺」といえる手法を人事院自らが行い、「見直し」の矛盾と制度そのものの破たんを認めたと言えます。
職場に混乱もたらすフレックス
非常勤職員の改善には何ら触れず
全職員を対象にした「フレックスタイム制」導入も問題です。人員不足や長時間労働が常態化している職場実態の中、民間職場で5%しか実施していない制度の導入は、長時間労働や不払い残業、メンタル不全を助長するなど、職場に混乱をもたらす危険があります。
非常勤職員の処遇改善については給料表改定の反映以外は何ら触れず、賃金や将来に不安を抱えながらも公務職場を支える職員の思いを無視するものです。京都府最低賃金が18円引き上がり、807円となることも踏まえ、均等待遇実現の運動が求められています。
これらの不当な内容と問題点をいくつも持った15人勧について、学習運動をすすめ、組合員・職場全体の怒りへと広げることが重要です。京都公務共闘の人勧学習会への参加や単組・職場での学習会実施など全組合員一丸となった取り組みをすすめましょう。
月例給 | 民間給与 | 国家公務員給与 | 較差 |
410,465円 | 408,996円 | 1,469円 | |
一時金 |
民間 | 国家公務員 | 較差 |
4.21月 | 4.10月 | 0.11月 |
官民較差 「改善原資」 1,469円 |
本来なら | 月例給改定 1,469円 |
||
15勧告では | 月例給改定 280円 |
地域手当改定 1,156円 |
はねかえり分 33円 |
【2015人事院勧告の概要】
■月例給・一時金ともに引き上げ
*民間給与との較差(0.36%・1,469円)を埋めるため、俸給表の水準引き上げと給与制度の総合的見直しにおける地域手当の支給割合の引き上げ(平成27年4月から実施)
*初任給2,500円、その他職員1,100円、再任用職員1,100円引き上げ
*ボーナスの引き上げ(0.10月・勤勉手当に配分)
■給与制度の総合的見直し(昨年の勧告を前倒し実施・平成27年4月遡及)
*地域手当の支給割合を0.5〜2%引き上げ(平成28年4月から給与法に規定する支給率)
*単身赴任手当の支給額の引き上げ
■「フレックスタイム制」の導入
*原則として全職員を対象にフレックスタイム制を拡充(平成28年度4月実施)
京都公務共闘15人勧学習会
南部 9月3日(木)18時30分〜ラボール京都
北部 9月7日(月)18時30分〜サンライフ舞鶴
京都自治労連 第1854号(2015年8月20日発行)より