機関紙 - 組合活動カテゴリのエントリ
政治不信を拡大し、コロナ禍での失政を繰り返した自公政治が行き詰まりを見せ、その一方で、かつてない規模での市民と野党の共闘が拡がる中、総選挙が行われる。そのような情勢のもと、私たちは、第89回定期大会を開催し、代議員の活発な討論により、職場での要求実現とともに、今こそ住民のいのちと暮らしを守る自治体の役割を十分に発揮させることをめざす運動方針を決定した。
大会では、コロナ禍の中、昼夜を問わず奮闘する職員の姿とともに、住民のいのちや暮らしを守るという公務労働者の役割が改めて認識された。それとともに、政府の進めてきた人員削減の結果、過労死基準を超える勤務実態や離職者の増加が報告され、人員闘争の必要性が改めて確認された。定年引き上げが課題となる中、職員が仕事に誇りとやりがいを持ち働き続ける為にも、賃金・労働条件の改善が必要である。
また、自治体職場で働く会計年度任用職員の仲間の雇用と賃金、均等待遇実現のたたかい、官民一体となったすべての労働者の賃上げのための賃金闘争を職場・地域から作り出す重要性が明らかとなった。生計費原則に基づく賃金闘争と、たたかってこそ運動と組織は前進することに確信をもち奮闘する。
コロナ対応で無為無策の失政を繰り返し、政治の私物化や「政治とカネ」の問題に対し、政治の責任を果たさない菅政権は、わずか1年余りで退陣せざる得ない状況となった。岸田首相に交代したが、社会保障を削減し、格差と貧困を拡大する新自由主義をベースとする安倍・菅政治の継承である。また、国に追従し、北陸新幹線などの大型開発を優先し、住民の暮らしを破壊する京都府政では、府民のいのちや暮らしを守れない。総選挙で国民の為の政治へ転換と、来春の京都府知事選挙で府民の為の政治への転換を目指す。
私たちは、今大会で深めた運動の到達と展望に確信を持ち、住民のいのちと暮らしを第一に守ること、憲法が暮らしのすみずみまでいきわたる住民本位の地方自治を目指して自治労連運動を自治体で働くすべての職場に広げ、地方自治を守る運動に全力を挙げる。組織強化・拡大の運動で仲間を増やし、自治研活動や学習を積極的に取り組み、職場や地域から信頼される労働組合となるために全力で奮闘する。
以上、宣言する。
2021年10月20日
京都自治体労働組合総連合 第89回定期大会
京都自治労連 号外(2021年11月2日発行)より
いずれの発言も、確信に満ちた熱い発言であり、執行部提案を補強するものでした。
住民のいのち・暮らし守る
自治体づくりすすめよう
発言の特徴の第一は、コロナ禍に関わる課題です。公務公共職場の脆弱さが顕わになり、住民からもその充実を求める声が上がっています。100時間・200時間を超える残業が今も横行しています。職員がいのちを削って住民のいのちをまもるという職員の奮闘まかせの対応は限界です。自己責任、公務の民営化を自治体に強要する「新自由主義」から脱却し、人員増と公務公共を充実で住民のいのちと暮らしを守るという本来の役割を発揮する地方自治体をつくりましょう。
公共サービス産業化から住民守る
住民の権利保障する憲法活かし
第二に、憲法がいきる自治体づくり、政治の転換の課題です。住民が豊かな暮らしを送れるようにすることが地方自治体の仕事だからこそ、生存権をはじめとするさまざまな権利が保障され憲法をいかした行政を、仕事の面でも労働組合の活動としても実現しましょう。
第三に「自治体戦略2040構想」、公共サービスの産業化の課題です。公共サービスの産業化で最終的に不利益をこうむるのは住民です。住民にいま自治体で何が起こっているのかを知らせ、住民とともに自らの市町村の在り方の問題として運動することが大切です。「京都市行財政改革」の根底にあるのは新自由主義に基づく応益負担、サービスを受ける以上自己負担は当然という考え方で、行政の責任放棄に他なりません。コロナ禍で財源不足、税収減が危惧される中、単に京都市だけの問題にとどまりません。
「いい仕事がしたい」思い支える
職場に足踏み出し、仲間増やそう
第四に、賃金・労働条件・雇用の課題です。一時金削減に反対し、職場に根差した要求で対置した要求書づくりを直ちにすすめましょう。そのためにも、職場に足を踏み出し、組合員・職員の声を集め、要求を積極的に掲げてたたかいましょう。
第五に、組織の拡大強化の課題です。みんなで議論して、「増やす人を増やし」、ストレートに組合に入ってと声をかける活動を、みんなの力で追求しましょう。
全体を通じて、声を上げることの大切さ、住民・職員・組合員の声を聴くこと、現場に臨むことの大切さが語られました。その活動が、自治労連運動を職場に示し、組織の強化・拡大につながります。
自治体の在り方が問われている
公務を充実させ、住民・地域守る
コロナ禍に、新型コロナウイルスに感染しても入院もできず、在宅での療養を強いられる社会でいいのか―国や自治体の在り方が問われています。総選挙と京都府知事選挙で、公務公共を充実させ、住民のいのちと暮らしを守る政治への転換が今こそ必要です。あらためて、投票に行ってみなさんの一票で政治を変えることを心から呼びかけます。
大会討論で語られた教訓や取り組みを職場に持ち帰り、みんなで推進していきましょう。
京都自治労連 号外(2021年11月2日発行)より
京都自治労連 第89回定期大会
日時:10月20日(水)10:00〜16:25(予定)
会場:ラボール京都ホール
緊急事態宣言発出にともない開催日が変更となっています
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
向日市職労は、向日市の保育所の職員7人と園児20人の新型コロナ感染者が発生したことを受けて、9月6日、市当局に「緊急申し入れ」を行いました。同市職労執行委員長のAさんにお話を伺いました。
向日市職労では、昨年の4月、府の緊急事態宣言が出される下で、保育について6項目、労働安全衛生について13項目の要求の実現を求めてきました。今回の要求書提出交渉は2回目となるもので、保育所で実際にクラスターが発生した下での要求(業務改善提案)です。
向日市では、保育所でコロナ陽性者が出て、8月30日〜9月11日まで保育所を休園しました。
執行委員長のAさんは、「昨年4月の交渉でも強く求めていたのですが、感染者が発生した場合の業務の基準となるマニュアルが示されておらず、『職員はどのように行動し対応したらいいのか』が分からず不安と混乱が広がりました」といいます。また、職員の情報共有についても当局に改善を求めました。
在宅勤務については、「コロナで休園となった場合、陽性者、濃厚接触者は自宅待機です。その他の職員が休む場合は年休(有給休暇)になっているので、在宅ワークや特別休暇を会計年度職員を含め対応するように当局と話し合いをすすめています」とAさん。
みんなの英知集め
Aさんは、「新型コロナ感染症の保育所での発生は、当局も組合も初めて経験することで、今回、様々な問題点や課題が明らかになりました。保護者の声を聴くことや職場での議論はもちろん、労使での協議を必要に応じて行うことが重要です」と語ります。
コロナ禍のもとでも、子どもたちを安心して預けられる保育所とするために、向日市職労の全職員の英知を集めた取り組みが行われています。
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
◆給与改定なし、
◆一時金を0.15月引き下げ
(再任用職員0.10月引き下げ)
◆55歳以上の昇給見直し
(令和5年4月1日までに制度改正)
9月28日、京都府人事委員会は「職員の給与に関する報告及び勧告」を行いました。
その内容は、国に追従し、月例給は改定なし、一時金を0.15月引き下げるもので、コロナ禍のもとで、住民のいのちと暮らしを守るために奮闘している職員の頑張りに水をさす不当なものです。
会計年度任用職員の勤務条件については、適切な勤務条件となるよう努める必要があるとしています。配偶者出産休暇の新設等の人事院勧告の趣旨を踏まえた制度調整の必要性に触れています。
2021京都府人事委員会「勧告・報告」のポイント
■月例給
民間給与との較差(▲23円、▲0.01%)が極めて小さく、給料表等の適切な改定が困難、月例給の改定を行わない
■期末手当・勤勉手当
年間支給月数を0.15月分引き下げ(年間4.45月→4.30月)再任用職員は0.10月引き下げ(年間2.35月→2.25月) 本年度は12月期分から引き下げ、来年度以降は6月期分と12月期分が均等になるよう配分 引き下げ分は期末手当に反映
■WITHコロナPOSTコロナ社会の人事管理等のあり方
効率的に業務を進め、業務増の部署の人員増を図るなどにより特定の部局や職員等に過度な負担とならない執行体制を確保し、新しい時代に対応していくことが必要
■職員の勤務環境
◇総実勤務時間の短縮 勤務時間に係る労働法制の遵守 客観的な記録を基礎とした適切な勤務時間管理及び適時・適切な手当の支給、事務事業の効率化等を進め、時間外勤務を削減
◇健康の保持増進 新型コロナウイルス感染症対応に従事する職員の心身の健康管理
◇テレワークの推進 勤務形態として定着させる必要 全職員の認識共有等
◇会計年度任用職員の勤務条件 関係法令を踏まえた適正な制度運用と適切な勤務条件の確保、人事院の意見の申出で、国の非常勤職員に対し育児休業等の取得要件の緩和や配偶者出産休暇等が新設されることを踏まえた制度整備
■定年の引き上げ
定年の引き上げに係る職員の勤務条件は国家公務員との均衡、本府の実情等を考慮して定めることが適当
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
9月10日、京都自治労連の秋季年末討論集会が開催され、10単組46人(Web19人)が参加。方針提案を受けて3つの分科会に分かれて討論を行いました。
「賃金・労働条件」分科会では、コロナ禍でなかなか集まれないなかで、アンケートを多くの単組で取り組んでいることや、定年引き上げに関心が強く、医療職場では、「60歳を過ぎて夜勤できるか不安」といった声が紹介されました。
「住民のいのちと暮らし守る」分科会では、コロナ対応で過酷な超勤が問題の保健所で、1日のべ140人の応援体制など一定の改善はあるが、帰宅時間が遅い実態は変わっていないこと、自宅療養者への無料配膳サービス事業に予算が組まれたこと、など職場の現状が交流されました。
「組織拡大・共済・元気な組合づくり」分科会では、人員不足が深刻で、管理職が倒れる事態や、増員を求める声が強いこと、若年者の退職が目立ち、係長が退職して他の自治体へ移っていることなど、労働組合の出番の情勢が、様々な単組から報告されました。
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
9月29日、「『コロナ禍』からいのちと暮らし・生業を守る府市民総行動実行委員会」は、医療体制や事業者支援の強化などを求める「コロナ署名」1万4780筆を、第1次分として京都府に提出しました。
「倒産が減っている」「保健所の統廃合で効率的になった」などと発言する知事の認識をあらため、コロナ対策、生活困窮の支援など実効ある対策を強く求めました。その後、府庁前で宣伝行動を行いました。次回提出は12月。引き続き、「コロナ署名」を集めましょう。
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
この号が読者のみなさんに届く頃には、新たな自民党総裁=新首相が決まっているはずだ。4人の候補者はいずれも安倍・菅政権を支えてきた人物であり、その責任の一端を負っている。
コロナ対応だけではなく、9年間の安倍・菅自公政権は立憲主義破壊の安保法制の強行、森友・加計・桜など政治の私物化、学術会議会員の任命拒否、大規模な選挙買収などあげれば切りがない。強権と金権腐敗の横行とともに、平気でウソをつき、説明せず、質問に答えない姿勢とも相まって、政治モラルの退廃を生んできた。
哲学者の鷲田清一氏は「政治家が言葉を損ねたこと」で「私たちが言葉を信じなくなってきている」と指摘する。本来政治とは人々のいのちや生涯の基本的部分を預かる大変重たいものであり、政治に無関心な人はいても無関係な人はいない。今度の総選挙で本来の政治を取り戻す、そんな政権を選択するために、主権者として決して諦めないで欲しいと願ってやまない。必ず投票に行こう!(F)
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
京丹後市立丹後小学校は、「間人(たいざ)ガニ」で有名な間人漁港の近く、道一本隔てて日本海が一望できる位置に建つ児童数148人(2021年4月)の学校です。先生や専門スタッフ、事務職員、給食調理員など30人ほどで運営されています。その中のひとり、学校用務員のBさんに、仕事の様子、苦労ややりがいをお聞きしました。
学校の施設管理、行事のサポートなど仕事は多岐に
学校用務員の仕事について、Bさんにお伺いすると「ひとことで言えば『なんでも屋さん』ですね」と笑います。日頃は学校敷地内の草刈り、グランドの整備、学校施設や用具のメンテナンスなどを行います。入学式や運動会など学校の行事に合わせて、施設や用具の整備も行います。「春になると生徒の椅子や机の高さ調整などを一つひとつ行っていきます。学校敷地内にある植木や花壇の手入れも欠かせません」とBさん。玄関にある松(写真)の剪定もBさんによるもので、「他校で植木剪定が得意な同じ学校用務員の仲間にアドバイスをもらいながら作業しています」と照れ笑い。
一方で丹後小学校ならではの苦労もあります。「海と隣接しているため、柵や校舎など施設の錆被害が多く苦労しています。校舎北側の窓は海からの風が吹きつけて、塩で真っ白になり、アルミサッシでも錆が出てきます」とBさん。窓・窓枠の洗浄や柵の点検・補修は欠かせません。「柵の修理などは、業者が行いますが、修理に来るまでの期間、倒れないように仮補修しなければなりません」。Bさんは「すべては生徒や保護者、先生方が、怪我をしたり事故に遭わないためです」と仕事の重要性を話します。
学校長や教育委員会と確認をとりながら仕事を進める
「草刈りなどは午後4時以降に行うようにしています」と話すBさん。草刈り機や刃物を使う場合は常に事故を想定し、児童が下校した時間に行うのが良いと校長先生と話し合いました。「騒音の問題など、様々な作業は学校の授業や行事だけでなく地域との連携も必要となってきます」「一旦帰宅した生徒が学校に遊びに来たり、地域の方々も校庭を利用していますから、公共施設としてどのように維持管理していくのか、様々な方と確認をとりながらの作業です」とBさんは話します。
一方で、労働安全衛生の問題もあります。草刈り機やチェーンソーなどはきちんと講習を受けて、作業時間制限など労働安全衛生基準に則った作業を行わないといけません。多岐にわたる学校用務員の仕事をすべて行おうと思うと、様々な分野で資格取得や講習を受ける必要が出てきてしまいます。「"学校用務員がどこまでやるか"がこの仕事に携わる者の悩みですね」とBさんはいいます。
「何もないこと」が一番
生徒が安心してすごせる学校
Bさんは、旧6町合併前の網野町に就職、学校用務員の仕事を始めました。「実は学校用務員の仕事をよく知りませんでした」とBさん。当時は、他校の先輩用務員と共同作業をしたりしながら仕事を覚えていきました。「夏休みに各校にいた用務員で集まって、砂場の土台になる木枠の交換をみんなで力を合わせて行いました。太い丸太に固定用の穴を空けて積み上げて組んでいく…"用務員だけでこんな作業もできるのか"と思いました」と当時を振り返ります。
6町合併の時には、各町で「技術員」「作業員」や「校務員」など、この仕事の名称と職の位置付けがバラバラで、「小中学校の用務に携わる」という位置付けを明確にして「学校用務員」という名称に統一し、今に至ります。現在は京丹後市の正規雇用の学校用務員は9名。来年、再来年と定年を迎える人が続きます。「学校用務員の正規雇用の採用は平成9年を最後にありません。技術とノウハウの継承が心配」「この仕事は、(事故やトラブルが)『何もない』ことが一番だと思っています。学校生活を児童が安心して送れること、先生方が不自由なく教育を進められることの下支えが出来ればといつも考えています」と話すBさんの言葉に仕事への誇りを感じました。
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より
10月1日から京都府の最低賃金、今年は時間給が28円上がって、937円になりました。全労連・国民春闘共闘会議は、「最低賃金は全国一律1500円に」の署名運動を秋年闘争から呼びかけています。
高校生も大学生もみんな対象
京都総評が呼び掛けた10月1日の「変わりました最賃アップ909円⇒937円に」の宣伝行動は、府内各地23ケ所で実施され、自治労連執行部や単組も参加。「今日から最低賃金がアップして937円になります」「今日から時間給が937円を下回ると法律違反です。高校生も大学生も働く人みんなが対象です」と声をかけながらチラシを配布しました。
チラシを受け取った大学生のグループは、「本当ですか。うれしいですね」とニコリ。「最賃時給1500円以上が必要。先進国の多くが1500円超えている」と話すと、「1500円あれば生活がずいぶん楽になる」等と対話ができました。
「最低賃金は全国一律1500円に」の署名を大きく広げて、世論にし、11月の総選挙の大きな争点に押し上げましょう。賃金の底上げなしに、公務労働者の賃上げはありません。民間の労働組合の仲間とも力を合わせ、府内各地で職場・地域から最賃運動を広げましょう。
京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より