機関紙 - 組合活動カテゴリのエントリ
京都自治労連医療部会や京都医労連などが、看護週間に行っている「春のナースウェーブ」が5月15日、オンライン配信され、看護師など150人が参加。「コロナ禍だからこそ、看護の本質を学ぼう」と日赤看護大学名誉教授の川嶋みどりさんが講演を行いました。
川嶋さんは、コロナ禍の看護師の過酷な労働の背景には、看護師不足や、患者中心より診療報酬ファーストに巻き込まれ、「看護に専念できない職場環境」があると指摘。「犠牲なき献身こそ真の奉仕」とのナイチンゲールの言葉を紹介し「勇気をもって発言する責任が看護師にはある」と強調しました。
府立医大や京都市立病院の組合員など4人が、コロナ病棟の現状などについて発言し交流しました。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
東京オリンピックまで2ヶ月を切った。しかし、東京都など10都道府県に緊急事態宣言が、8県にまん延防止等重点措置が出されている。
新規感染者は減少傾向にあるが、引き続き医療は逼迫し、自宅や施設療養者が命を落とすというあってはならない事態まで起きている。頼みのワクチン接種も高齢者向けにはじまったばかりで、安全な大会が出来るのか世界からは疑問視されている。
しかも、「医療崩壊」が言われる中、都やIOCは医師200人、看護師500人、消防延べ3万人、就学児童数十万人を動員する計画で、そういった不安を反映して世論調査では国民の7〜8割がこの夏の開催をのぞんでいない。
先日TVを観ていると、責任者である東京都知事は大会を止める権限はないけれども、返上する権限はあるとのこと。都民や国民のいのちを最優先にするならその決断こそ求められている。知事が決断できないなら、7月4日に行われる都議選で都民の選択で決断を迫るしかないのではなかろうか。(F)
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
向日市は、誰もが暮らしやすい市をめざす自治体施策のひとつとして、2017年3月に「古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例」を制定し、住民はもちろん他の自治体からも注目されました。
条例施行から今年で5年目となります。引き続き条例の実効と発展に奮闘するAさんにお話を伺いました。
手話通訳士として条例を実効あるものに
Aさんは向日市に就職して6年目。手話通訳士の資格(厚生労働大臣認定の国家資格)を持っています。「採用されてすぐに手話言語条例の検討がスタートし、施行となりました。あれからもう5年になろうとしているんですね」とこれまでを振りかえります。
Aさんは条例を市役所内外へPRするために、ポスターやチラシ、パンフレット、手話マンガなどの作成に携わります。「ろう者の方々のことを知っている担当課の皆で議論しながら作っていきました」とAさんとAさんの息子さんが手話をする姿が載っているポスターを見て照れ笑いします。
他にも職員向けの手話研修の実施や手話動画の作成などにも携わります。「市のホームページやYouTubeにも動画をアップしています。市長の動画メッセージでも私たちが手話通訳をしています」タブレット端末を活用した遠隔手話通訳も行っています。
Aさんは、「聞こえる人には気が付かない苦労や不便がろう者にはあります。ろう者の方々の暮らしの課題を知ってもらうことも重要です」「市役所の窓口ではいのちや財産にかかわる相談もあり、言語の通訳だけでなく生活や人権を守る仕事を担っています」と仕事への責任ややりがいを話します。
手話と多くの人との出会いと手話通訳士資格取得への決意
Aさんが手話の学習を始めたきっかけは、学生時代に友人から手話教室を一緒に受講してほしいと誘われたことでした。「英語学を専攻していたので、最初は、言語のひとつとして、その表現方法や伝達力に魅かれていました」とAさん。手話への興味が増す一方で、そこで出会うろう者の方々のイキイキとした姿を見て、「障がい=不幸ではない」と実感しました。
卒業後は民間企業で働いていましたが、ボランティア・サークルなどで手話に関わり、手話通訳者の資格を取得しました。結婚後、配偶者の転勤で甲信越地方の小さな市に引っ越したAさんは、手話通訳者がいない地域がたくさんあることにショックを受けます。「地元出身の通訳者ではないけれど、少しでもろう者の皆さんに安心してもらえるように」と手話通訳者からさらに難しい手話通訳士の資格取得を決意しました。
障がい者と家族に寄り添い速やかな行政サービスを提供
Aさんの所属は市民サービス部障がい者支援課です。普段は、聴覚障がい者支援関連業務とさまざまな障がいを持つ方々のケースワーカーの仕事をしています。障がい者自らが窓口に相談に来るケースや、高齢者支援の中で、その家族に障がい者がいて、急きょ支援に入るなど、他の部局との連携はもちろん、事業所や障がい者団体との連携も重要です。「乙訓2市1町との情報交換などもあり、地域丸ごとで支援ができていると思います」とAさん。「皆さんに配布しているものです」と見せてくれた80ページ以上におよぶ「障がい者福祉のてびき」は、利用できる行政サービスや法令、様々な関係団体などが掲載されとても、わかりやすいものになっています。「障がい者支援課の皆がそれぞれの仕事を把握してくれていて風通しのいい職場です」と誇らしげに話します。それでも途切れることがないケース対応などで連日忙しい毎日です。
「新型コロナウイルスの感染を恐れ、休日の外出をやめてしまわれた障がい者とご家族もいるなど、家庭内でのストレスが溜まっておられる方が多い」とAさん。コロナが収束しない中で心配がつきません。
「安心して住み続けたいと願う障がい者やご家族、団体の思いに寄り添う仕事を引き継いでいきたい」とAさんは笑顔で答えてくれました。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
「こんな地域と職場を作りたい」運動を提起する自治労連の全国交流集会が5月15日にWeb開催され、全国の地方組織・単組94ヶ所でのZoom参加。また、YouTube配信も98以上で視聴されました。
京都からは、商店街調査を行った府職労連の特別報告がありました。
集会冒頭の基調報告で、自治労連本部石川敏明書記長は、「コロナ禍であらためて公務公共の役割がクローズアップされ、地方自治体に住民からの希望・期待が高まっている」とし、病院や保健所などでの仲間の奮闘が紹介されました。石川書記長は、安心して住み続けたい住民の願いと、安心して働き続けられる公務公共職場の実現をめざす組合の運動を結び付けていくことが重要だと強調しました。
【特別報告】
職場からの声を集め要求前進向け粘り強く
職場での取り組みでは、岩手・大船渡市職労が常態化する長時間労働に対して、粘り強く当局と交渉し人員を勝ち取った報告、東京・世田谷区職労からは不払い残業根絶をめざして毎年のアンケートを実施し職場訪問で、組合への期待や参加を広げた報告、大阪府職労からは保健所の職員、保健師の奮闘を応援し、SNSなど多彩な方法で声とつながりを広げ、運動を前進した報告がされました。
安心して住み続けたい住民の思い地域に足を踏み出す取り組み
地域調査の取り組みでは、厚労省が出した公立・公的病院の再編統合で名指しされた地域で住民アンケートを実施した市立湖西病院職員労組、コロナ禍での事業者の実態をつかもうと商店街調査を実施した京都府職労連、西日本豪雨災害から復旧復興に苦労する柑橘農家を支えようと広範な農家にアンケートを実施した自治労連愛媛県本部からの報告がありました。
地域住民や事業者団体と広範な共同で取り組みが進められ、アンケートや懇談で出された結果や意見を丁寧に返して、発展させていることが特徴でした。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
4月に自治体職場に就職して2ヶ月が経った今年新規採用の皆さんは、コロナ禍での不自由な生活の中でも、新たな職場・仕事・生活にチャレンジしようと頑張っています。今回の取材も気持ちのいい新人さんに会うことができました。
住民が笑顔でいられる町にしたいです
精華町職 Bさん
今年精華町に技師として採用されたBさんは、3月まで大手建設会社で現場監督としてアパート等の施工に携わっていました。「土日なく働いていました。まったく休みが取れなかった」と振り返るBさん。このままではと転職を決意します。そんな時、先輩から自治体で自分の持つ技術が活かすことができる仕事があると聞き、精華町の募集に応募しました。「役所に技術の仕事があることを知りませんでした。急だったのでほとんど公務員試験の勉強はできていなかった」と話します。
Bさんの配属先は事業部営繕室で、同じ技師が集まる職場です。今は先輩について現場回りをしています。「先輩たちがテキパキ仕事をこなしていて、プロチームのようです」と職場の雰囲気が気に入っている様子。将来は、学校など公共施設の設計や施工をしたいと話すBさん。「住民の皆さんが安心して利用できる施設を設計したり管理をしていきたいですね」と抱負を語ってくれました。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
自民・公明の与党は、米軍や自衛隊の基地周辺に暮らす住民の個人情報を調査し、土地・建物の利用を制限する土地利用規制法案の今国会での成立をねらっています。米軍基地や自衛隊基地がある京都の住民にとっても大問題です。
京都に米軍1ヶ所自衛隊33ヶ所
土地利用規制法案は、総理大臣が安全保障上重要とみなす米軍・自衛隊基地、海上保安庁施設、原発といった「重要施設」の周囲約1キロと、国境離島を「注視区域」に指定し、区域内にある土地・建物の所有者や賃借人らを調査することを定めています。「注視区域」のうち特に重要とみなすものは「特別注視区域」に指定し、土地・建物の売買に事前の届け出も義務付けます。
自衛隊基地だけで「注視区域」の候補は全国で四百数十ヶ所、「特別注視区域」の候補は百数十ヶ所にもなります。京都には米軍施設1ヶ所、自衛隊施設33ヶ所があり影響は重大です。
2年以下の懲役200万円以下の罰金
調査の結果、政府が「機能を阻害する行為」や「明らかなおそれ」があると判断すれば、利用中止を勧告・命令でき、命令に違反すれば2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられるというものです。
法案の大きな問題は、調査の範囲が職歴や海外渡航歴、思想・信条、家族・交友関係などに及ぶ危険があることです。
また、調査を行う「関係行政機関」には警察や公安調査庁、住民運動を日常的に監視する自衛隊の情報保全隊などが含まれる可能性があり、憲法が保障する思想・信条の自由を侵す危険があります。
国会における審議でも、政府の答弁は二転三転し、法案提出理由すら説明できない状態です。反対の声を強め廃案にしましょう。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
京都北部で観光と言えば、天橋立を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?日本海に面した宮津湾を横断する全長4キロ弱、幅20メートルから170メートルの砂洲に5千本もの松が生い茂る珍しい地形で全国的にも有名です。
この絶景を北側から見下ろせるのが傘松公園。ケーブルカーを利用すれば麓の府中駅から傘松駅まで5分弱で傘松公園に登ることができます。駅を降りると眼下に天橋立と宮津湾内、日本海まで雄大な景色が目に入ってきます。このケーブルカーは開業が1927年(昭和2年)といいますから、途中運休(廃線)していた期間はありますが、90年以上の歴史があるのには驚きました。
天気のいい日、広大な景色と気持ちよい風にあたりながら野外のベンチで「傘松だんご」。丹後産コシヒカリ使用のみたらし団子で、素朴でおいしかったです。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
あきやま・かずお=
1941年 東京に生まれる
1968年 東京歯科大学 卒業
1982年 京都府丹波町(現:京丹波町)にて秋山歯科開業
2016年 京都府歯科保険医協会理事長 就任
2018年 京都府歯科保険医協会顧問 就任
2018年 「保険で良い歯科医療を」京都連絡会代表世話人
歯科医療格差をなくす自治体施策の充実を
私たちは歯科を受診するとき、医療保険内で治療できるのかと不安になります。一方、子どもたちの口腔崩壊が大きな問題となっていて、コロナ禍で、さらに悪化しているのではないか心配です。日本の歯科医療の現状について、歯科医師で「保険で良い歯科医療を」京都連絡会代表世話人の秋山和雄さんに、お話をお聞きしました。
――日本の歯科医療の現状について教えてください。
秋山 現在、先進国の医療技術は、医科も歯科もほとんど同じ水準と言えます。医療費については、日本は低医療費政策のもとで、医療技術費が異常に低く抑えられるとともに、診療報酬の医科と歯科の格差が戦前から一貫して続いていることが大きな特徴です。
政府は、1961年の国民皆保険制度発足当初から、歯科医療に保険を積極的に適用せず、新しい技術の保険適用も進みませんでした。一般の医科では、診察や検査、手術も含めほとんどの治療が保険で受けられ、新しい技術も基本的には保険が適用されています。
今から10年ほど前に、日本歯科学会が、診療行為についてのタイムスタディー調査を行いました。歯科医の診療行為を、ストップウオッチを使って一つひとつ計って調べたのです。その結果、診療報酬の点数と比較すると、7割が不採算と出ました。特にひどいのが入れ歯で、8割が不採算との結果です。
このため歯科医院では、例えば、虫歯治療で「保険でもできますが、セラミックなら白く丈夫です。一本7万円です」等と言わざるを得なく、「歯科へ行けば高くつく」となってしまいます。
この問題は国会でも取り上げられましたが、政府は「一つひとつの診療行為が、採算が合うかは考えていない。トータルとしては、採算が合っている」と答弁しています。この"トータル"というのは、保険診療と自費治療とを合算した額のことです。だから、歯科の保険医療に新しい技術を導入してこなかったのです。
最近、科学的解明が進み、歯周病が糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞と関係があることや、早産の原因であることも分かってきました。自分の歯や入れ歯で咀嚼できるかで、認知症やうつ病の割合に差があることも明らかになるなど、歯科の重要性が注目されています。
――歯科技工士、歯科衛生士の現状はどうなっているのでしょうか。
秋山 入れ歯やかぶせ物を作っている歯科技工士の現状は大変深刻です。歯科医は、少しでも採算をとるために、より安い歯科技工士に発注します。価格競争のなかで低賃金・長時間労働に追い込まれ、希望が持てず、20代の歯科技工士の8割が離職しています。たくさんの歯科技工士学校が、閉校になっています。10年後、20年後の入れ歯は、誰が作るのでしょうか。
歯科衛生士は、高齢者の口腔ケアが大切なことが分かり、高齢者施設などで需要が大変増えています。しかし、歯科衛生士が自立して定年まで、子育てをしながら働き続けられるかというと、そうではありません。
歯科技工士・歯科衛生士の人たちの、ちゃんとした収入が確保できる制度づくりが必要です。
――コロナ禍で、歯科医療はどのようになっていますか。
秋山 虫歯が10本以上、虫歯がたくさんあり咀嚼が困難な状態を「口腔崩壊」と言います。コロナ禍以前から、口腔崩壊児童が増えていることが大きな問題でした。保団連の医科歯科学校健診後調査で口腔崩壊の児童が「います」と答えた学校は、2019年は、28・9%、2020年では29・8%へと増加しており大変深刻です。
学校歯科検診で、「要検査・治療」勧告を受けた児童の割合は、19年度が32%、20年度が31・1%と少し減っていますが、治療に行かなかった無治療の割合は、19年度が57%、20年度が62・3%と増加しています。
高齢者では、所得が300万円以下の4割が「歯の治療が必要だが、歯科に行ったことがない」と回答。所得が800万円以上の人では、同じ質問に対して回答が13%となっており、3倍の違いがあります。それだけ、所得による受診の抑制があります。窓口負担が2倍になれば、さらにひどくなることは明らかです。
一方、歯科医院は、「歯科はコロナに感染しやすい」等と間違った報道がされた結果、受診抑制が起こり、歯科医院の経営危機が進んでいます。調査では、コロナで約2割近い患者さんが減っています。
事実は、歯科医院でコロナのクラスターが発生した件数は医科の医療機関や施設に比べて極めて少ない。それだけ歯科医院では、コロナ禍以前から、感染防止対策としてマスク、消毒、ウガイ、手洗いが徹底されてきました。安心して歯科を受診してください。
――行政や職員への要望をお聞かせください。
秋山 私は以前、デンマークとスウェーデンの歯科医療の視察に行きました。デンマークでは、小学校に歯科治療室があって、検診の結果「治療が必要」となった児童は、授業中に治療を受けていました。もちろん無料です。スウェーデンでは、18歳まで歯科治療は無料。しかも矯正も無料です。日本では、矯正は保険適用外の為、何十万円もかかります。「歯並びが悪い。矯正治療が必要」との勧告を受けても、お金がなければ治療を受けることが出来ません。経済的格差による住民の医療格差をなくすため、自治体には独自の施策を作っていただきたい。京都市は、子どもの虫歯が減ったら予算を減らすのではなく、中学卒業まで無料にすべきです。
皆さんには、ぜひ「保険でより良い歯科医療を」の署名に協力していただきたいと思います。私が学生の頃は、「医労提携」とよく言っていました。「貧困な医療政策と低賃金労働の根っこは一緒」だから、共同しようという意味です。社会保障を充実させるため、新しい「医労連携」を大いにすすめましょう。
京都自治労連 第1974号(2021年6月5日発行)より
京都自治労連 第205回中央委員会
6月24日(木)予定
●全ての単組から参加を●
青プロ プレ企画!オンライン交流会
自治労連 近畿ブロック青年部主催
日時:6月27日(日)13時〜15時
※12:50までにZoomにログインしてください
場所:オンライン会議システム(Zoom)
内容:
●近畿ブロックのこれまでの取り組みを紹介
●2022年"青プロ"についてご案内
●グループトーク【コロナ禍での私たちの働き方〜DX化・テレワークなど〜】
ゲームや抽選会もあります♪
一次締め切り:5月28日(金)
最終締め切り:6月18日(金)
2021 春のナースウェーブ〜オンライン〜
日時:5月15日(土)10:00〜12:00(9:30〜受付開始)
講演:「コロナ禍だからこそ、看護の原点を考える」
講師:川嶋みどりさん(日本赤十字看護大学名誉教授)
申込・参加方法
(1)QRコードから事前の参加登録をお願いします。
(2)当日はZoomでご参加ください。
ミーティングID:932 2642 8135 パスコード:515
主催:ひろがれ看護のこころKYOTO連絡会
京都自治労連 第1974号(2021年5月5日発行)より
いとう・ひでとし=1972年愛知県生まれ
1997年京都市立芸術大学大学院卒業
同年(有)京都造形センターにて建築業に従事、2009年より全京都建築労働組合の書記局として従事する。
"困った時は区役所へ"を
発信し実効ある支援施策を
新型コロナ感染拡大は、3回目となる緊急事態宣言が発令されるなど、住民の暮らしと命を脅かし、とりわけ、社会的弱者にしわ寄せが集中しています。そのような中で、様々な支援の取り組みが全国でも京都でも広がっています。昨年、12月から左京区の各地で「食料提供と相談会」を行い、寄せられたアンケートや聞き取り調査をもとに、区役所への申し入れ・懇談会に取り組んでいる『左京連帯ひろば』の伊藤英利さんにお話を伺いました。
――なぜ、『連帯ひろば』に取り組まれることになったのですか
伊藤 『連帯ひろば』の元になっているのが、左京地区労などがリーマンショックの時に始めた年2回の『なんでも相談会』です。経済が一定落ち着いてくると、相談に来られる方も少なくなり、どうすれば困っている人に情報を届け、支援活動につなげることが出来るのかが大きな課題でした。
コロナ禍で、非正規労働者の首切りや、困窮する青年・学生の実態が報道され、全国各地の食料支援や相談会には、たくさんの方がみえていました。
会議では、「もっと困っている方がいるのに、我々とつながりがないから、支援活動の姿が見えていない」「工夫次第で取り組みを知らせることはできる」「もっと協力者を地域に作ることが必要」などの意見が次々と出て、取り組みの改善を行ってきました。
地域の飲食店やスーパーにも、ポスターやチラシ、物品提供のお願いをしました。「よい取り組みですね。協力させてもらいます」と、ドンドンつながりが広がりました。また、大学でも、チラシの配布や声掛けをしてくれる学生も出てきています。
短期間で、『連帯ひろば』は、地域ごとに実行委員会が結成され、労働組合や女性団体、市民団体と様々な個人の方が担い手として参加をしていただき、広い取り組みへと発展しています。昨年の12月から、8会場で開催し、500人以上の方に食料の支援や相談活動を行ってきました。
――これまでの中で、伊藤さんにとって転機となった相談はありましたか
伊藤 印象的だったのは、『連帯ひろば』の会場に京建労の組合さんがご夫婦で来られたことでした。私には、すごくショックでした。ご主人が病気で働くことが出来なくなり、奥さんがホテルの清掃の仕事をされていたのですが、コロナでホテルの利用客が減り、清掃の仕事も減って経済的に困り、病気の治療費にも事欠いておられたんです。これまでも「生活保護を受けられるよ」と話はしていた方です。ところが実際に困った時に、地域で誰に相談したらいいのか分からない。つてのない人たちに、私たちが役割を果たさなければならないと深く思いました。
相談会では『なんでも相談アンケート』で対話をし、実態をつかむようにしています。「食費と成長期の子どもたちの服や学用品を買うので精一杯。自分の服は買えない」(シングルマザー)「お客さんが来なくなり水道料金の支払い猶予を受けている」(飲食店店主)「フリーランスで舞台照明の仕事をしていたがコロナ禍で仕事が無く、貯金を取り崩して生活している。いつまで続くか不安」(40代女性)など、本当に深刻な声が寄せられています。
『左京連帯ひろば』実行委員会では、毎回反省会を開いて、良かった点や改善点を話し合います。「こちらから結論を押し付けていないか」「もっと、活用できる制度を勉強してレベルアップが必要」等の意見が出されます。回を重ねるごとにみんなが思うのは、「本当に困っている人こそ悩みを話せない」ということです。2回3回と顔なじみになって、初めて話していただけた方もありました。実行委員会のレベルアップも必要と、『お困りごとを聴くためのヒント』講座の体験学習会にも取り組みました。
実行委員会で確認したのが「食料を届けるだけでなく、地域の人々の暮らしの大変さをきちんと聞き取って、ちゃんと行政に届ける」ことを取り組みの主体にすることでした。
――左京区役所への要望申し入れと懇談を行われたんですね
伊藤 『なんでも相談アンケート』で対話をして寄せられた声をもとに、6項目の要望書を作成し、2月9日に左京区長宛に申し入れと懇談を行いました。
「生活保護制度や休業支援金制度など活用できる様々な給付金制度があっても、困っている人は、日々の生活で精いっぱいで、困った時にどこに相談すればいいか分からない」「『困った時は区役所へ来てください』と発信し、ワンストップで申請までつなげる役割を果たして欲しい」、そのために区役所業務の改善や、職員の増員を要望しました。
区役所の副区長さんには丁寧な対応をしていただいたと思いますが、私の感想は、コロナで困窮している市民がいることに対する認識が希薄に思えました。たとえば、京都市の減免の申し入れがどれだけ来ているかについてとか、生活保護の申請についても把握されておらず、明確な答弁をされませんでした。「自分たちが、困窮者を救える機関なんだ」という認識が欠落しているのではないかと思ってしまいました。
その一方で、職員の皆さんも大変だと思います。いろんなサービスを委託され、市民の実態が見えなくなっているのではないでしょうか。様々な申請や行政サービスの受付を派遣職員が行なったり、委託に出しておられます。これでは住民の生活の実態を肌で感じる機会が奪われ、住民がどんなに困っているのか、どんなサービスを求めているか分からないのではないでしょうか。
――これから行政に求められることはどのようなことですか
伊藤 本当に仕事が途絶えたり、無くなったりするのはこれからだと思います。国がちゃんと保障することをしないと、地域で倒産も増えてくると思います。国に対してもっと強く支援制度を求めるとともに、行政として何ができるのか、もっと市民のところへ、現場に足を運んで把握し独自政策を実施して欲しいと思います。
京都自治労連 第1974号(2021年5月5日発行)より