機関紙 - すべての労働者の賃上げで景気回復 職場要求前進へ、学習と共同の運動すすめよう 〜京都自治労連2016春闘アンケート〜
京都自治労連2016春闘働くみんなの要求・職場アンケートには、24単組から正規・再任用職員4745人、臨時・非常勤嘱託職員1414人、あわせて6159人から回答が寄せられました。(3月1日到着分)
15確定闘争では組合員・職場の声を集めて、官民較差に基づく給与改定、年度内の差額支給など要求前進を勝ち取りました。一方で昨年に続いて「生活が苦しい」との回答が過半数を超え、職場に目を向けると、「人員不足」を訴える声が7割、仕事量では個人・職場どちらも「増えている」が過半数です。非正規分野では、7・4公務員部長通知の活用などで賃上げや労働条件改善を勝ち取っていますが、引き続いて賃上げや雇用の安定が切実な要求です。
賃金引き上げや人員増などアンケートに寄せられた声や要求を背景に、組合員を増やす春の組織拡大の取り組みとも結びつけ、単組・職場での学習と要求討議をすすめ、16春闘での要求前進に奮闘しましょう。
(数字の後ろのカッコは昨年の集計結果です)
生活実態と賃上げ要求
依然として厳しい生活実態
「奨学金」が家計負担の一因に
賃金増減については、7年ぶりのプラス改定であった14人勧とその後の14確定闘争で差額支給など賃金改善を勝ち取った成果もあって「増えた」41.2%(36.8)が昨年以上の回答となりました。しかし、生活実感を見ると、「かなり苦しい」13.1%(14.2)、「やや苦しい」39.2%(40.2)をあわせた割合が52・3%と昨年と同じく半数以上が生活の苦しさを訴えています。
昨年と比べて賃金が増えたといっても、消費税増税や物価高、実質賃金の減少などで家計負担は深刻です。「住宅関係費」「食費」は昨年に続いて家計負担のトップ2となり、「子どもの教育費」「税・社会保険料」と続いています。
また、昨今の学費・奨学金をめぐる情勢から今回のアンケートに新たに「奨学金」の項目を加えましたが、正規・非正規どちらの回答を見ても約4%の方が奨学金による生活負担を訴えていることがわかりました。
賃上げ要求は、労働条件改善の設問で「賃金・一時金の引上げ」64.6%(30.4)と昨年の2倍以上の結果に。また、月額では「3万円」27.5%、「5万円」20.0%、「2万円」16.9%と、「月額2万円以上の賃上げ」が75.1%、全体の7割以上を占めました。京都自治労連が16春闘で掲げる「誰でも月額2万円以上の賃上げ」要求を裏付けるものとなっています。
非正規職員の実態と要求
賃金改善と雇用安定の要求は切実
生活実感について、「かなり苦しい」「やや苦しい」あわせて59.4%、昨年と比べた賃金では「増えた」20.8%(14.5)、「変わらない」63.2%(60.4)、「減った」16.0%(25.1)との集計結果になっています。「増えた」との回答が増加している要因として最低賃金の引上げをはじめ、処遇改善など運動が前進してきた成果とみることができますが、そうした中でも生活が苦しいとの声が半数を超え、「食費」22.6%、「税・社会保険料」20.1%が家計の負担として重くのしかかるなど、厳しい生活実態があらわれています。
賃上げ要求では、「月額3万円、日額1000円、時間額100円」への回答が集中しています。
職場での不満について、「賃金が安い」44.9%、「正規職員との待遇格差」29.9%などの声が寄せられています。また、職場で抱える不安では、「雇用契約の更新」33.4%、「職場や仕事が無くなるのでは」22.6%との雇用不安が多くを占めています。
権利・労働条件では、一定の前進が図られていますが、均等待遇の点からはまだまだ及んでいません。特に権利について、「わからない」との回答が多く寄せられており、組合側から権利の周知等をはかり、均等待遇、権利拡大に向けて、非正規職員の組合加入をすすめていくことが重要です。
働く条件の改善要求は、「賃金引上げ」64.2%、「ボーナスの支給・額の引上げ」49.8%、「雇用の安定」30.8%となっており、非正規要求の大きな柱は「賃金改善」と「雇用安定」であることを示しています。
格差を是正し、賃金改善など均等待遇実現、雇用の安定をはかることが非正規労働者の切実な要求です。
健康と人員要求
人員増はまったなし
サービス・不払い残業は3割超
職員の健康について、「普段の仕事で心身に疲労を感じるか」との問いに対して、「毎日非常に疲れる」22.7%、「毎日多少疲れる」27.3%と毎日疲労を感じているとの回答が5割近くにのぼっています。また、「疲れを感じない」「どちらでもない」があわせてわずか3%と、回答者の9割以上が仕事上での疲れを感じている実態が浮き彫りになっています。
その原因として、昨年と比べて「個人の業務量増加」56.1%(50.4)が6ポイント増え、「職場の業務量増加」59.9%(59.4)と仕事の負担が増えていることが挙げられます。しかし、職場の人員を見ると「足りていない」67.0%(60.1)と昨年より7ポイント増、一昨年から13ポイント増と慢性的な人員不足を多くの職場が抱え、職員への過重負担につながっていることが明らかになっています。
労働実態について、「サービス・不払い残業」の設問で、「ある」と答えた方が36.6%(36.3)と3割をこえる結果となっています。その理由として、「仕事の責任がある」42.5%(41.6)が昨年に続いて高くなっていますが、仕事の責任とサービス・不払い残業は別の問題です。また、「申請しづらい雰囲気がある」36.2%(36.2)との回答も依然として高くなっています。「○○時までは超勤申請しない」といった暗黙のルールや職場の風潮、「上司から残業はつけないと言われている」など職場が無法地帯化している現状があります。早急に改善を図り、超勤分の全額支給はもちろん、超勤をきちんと申請できる職場づくりが必要です。
職場環境の改善要求では、「人員増」41.9%、「年休取得促進・休暇増」30.4%、「人員配置・人事異動の改善」25.8%と、人員・休暇に関する項目が上位を占めました。
人員増と職場環境改善を求める声が昨年にも増して切実となっており、16春闘で重点課題として単組・職場で取り組みを強化する必要があります。
京都自治労連 第1867号(2016年3月5日発行)より