機関紙 - 川内原発直ちに停止を 原発再稼働の危険示した熊本地震
4月14日に発生した熊本地震は、想定外の地震として甚大な被害を発生させ、その後も揺れが続いています。震源地近くで、全国で唯一稼働している九州電力川内原発に対して、「直ちに稼働停止を」の声が広がっています。
「今は安全上の問題がない。科学的根拠がなければ、国民が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」と語ったのが、原子力規制委員会の田中俊一委員長。また、原子力防災担当を兼ねる丸川環境相は、「規制委員会が専門的見地から判断したことを尊重する」との立場を表明しました。
しかし、想定外の地震が続いている今、川内原発はただちに停止すべきです。規制委員会は『異常なし』と言っていますが、『異常あり』になれば手遅れだということが、東京電力福島第一原発事故で得た教訓ではないでしょうか。
米国では、原発周辺に大型ハリケーンが襲来すると予想されれば原発を停止します。原発に異常がなくても、送電線や鉄塔が倒壊して外部電源が喪失し、深刻なリスクを及ぼしかねないからです。
川内原発の避難計画には、事故が起きたら住民は被曝を避けるために「屋内退避」となっていますが、今回の熊本地震でも明らかなように、地震時に屋内にいたのでは、逆に危険であり、安全は守れません。また、高速道路や新幹線を使っての避難計画等も、今回の地震では、どちらも使用できなくなり避難計画の破綻は明らかです。川内原発は直ちに停止すべきです。
国民の命と安全を犠牲 ひたすら原発再稼働
熊本地震の終息も見えないのに規制委員会は、4月19日、熊本地震の原因となった別府島原地溝帯と連なる中央構造線断層帯の南側にある伊方原発3号機の審査を終了。四国電力は、7月下旬に伊方原発を再稼働させる方針で、6月下旬にもウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を含む燃料集合体157本を炉心に装着しようとしています。
一方、運転開始から40年を超える関西電力高浜原発の1、2号機について規制委員会は、新規制基準に達しているとの審査書を正式決定しました。
大地震にも、「40年廃炉」の原則にも正面から向き合わず、原発再稼働をひたすらすすめる安倍政権に、これ以上政権を任せるわけにはいきません。
京都自治労連 第1871号(2016年5月5日発行)より