機関紙 - 「会計年度任用職員」問題?〈その問題点〉 当局任せは極めて危険
前号の「会計年度任用職員」問題?では、なぜ地方公務員法及び地方自治法の一部が改正(以下「改正法」)され、「会計年度任用職員」制度が導入されたのかについて触れました。今号では、明らかとなった問題点」について明らかにします。
「改正法」では、任用根拠の明確化として、特別職非常勤職員と臨時的任用職員の任用の厳格化を行い、これ以外の労働者性の高い臨時・非常勤職員を新設した「会計年度任用職員」に位置付けるとしました。また、会計年度任用職員にはフルタイムと短時間の2つのタイプを設け、労働時間の違いによる処遇面での格差も容認するものとしました。
いつまでも非正規 いつでも雇止め
雇用の面では、会計年度単位の雇用を法制化したことで、いっそう不安定な雇用を強いることになりかねず、処遇面でも「同一労働同一賃金」には程遠いものと言わざるを得ません。「いつまでも非正規、いつでも雇止め」を「法制化」したという重大な問題を持っています。
ほとんどの業務を「年度職員」に変えれる
総務省は、公務運営は「任期の定めのない常勤職員が中心」と説明していますが、「改正法」では、正規職員が担う「本格的業務」以外は「会計年度任用職員」が担当することも可能とし、「本格的業務」についても、「権力的業務が本格的業務にあたるとの説もある」としています。
つまり、「改正法」は、自治体のほとんどの職を「会計年度任用職員」に担わせることが可能となる内容を持っています。正規職員から「会計年度任用職員」という名の非正規雇用職員への置き換えをいっそう進め、その先は業務のアウトソーシングを加速させる狙いがあることも見ておかねばなりません。
新制度移行後の「職の再設定」検討
現在、各自治体では、臨時・非常勤職員が担当している職の実態把握を行い、新制度移行後の「職の再設定」を検討しています。当局任せにするのは極めて危険です。臨時・非常勤職員だけの問題ではなく、公務の在り方、どういう自治体を作っていくのかが問われる大問題としてとらえ「常時勤務を要する職には、正規職員での配置を」等、取り組みの強化を図ることが重要になっています。
京都自治労連 第1920号(2018年5月20日発行)より