機関紙 - 京深層水
第71回カンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞となるパルムドールを受賞した。21年ぶり、日本人4人目となる快挙だ。
祖母の年金を基本収入にして、足りない分は万引きで補っている貧困家庭を描いたこの物語を企画したインスピレーションの源泉には、日本で年金の不正受給事件が厳しく糾弾されたことについて、「人々はなぜこのような軽犯罪にそこまで怒ったのか」(韓国紙・中央日報インタビューより)を深く考えたことにあると監督は語っている。
2010年に足立区で発覚した事件が、年金詐欺として大きなバッシングを浴び、数年後の生活保護バッシングに続く。前掲インタビューで監督は、「日本は経済不況で階層間の両極化が進んだ。政府は貧困層を助ける代わりに失敗者として烙印を押し、貧困を個人の責任として処理している」と語る。
私には、国や地方自治体の役割は何かが鋭く問われているような気がしてならない。みなさん、ぜひご覧あれ。(F)
京都自治労連 第1921号(2018年6月5日発行)より