機関紙 - 地域 定住・地域政策課のとりくみ 住民によりそい地域を守る仕事を粘り強く…地域のいいところを伝えたい
綾部市では、高齢化などで過疎化する地域の課題に対し定住促進、都市との交流、地域産業の育成、暮らしの向上などを柱に「あやべ水源の里条例」(2007年)を制定。2014年には「住みたくなるまち定住促進条例」も制定しました。
その業務を担う定住・地域政策課のAさんに、仕事の思いをうかがいました。
問い合わせは毎日 全国から電話にメール
Aさんは綾部市に就職して7年目。定住・地域政策課で、市内の「空家」を募集し綾部市に住んでくれる方々に紹介する仕事をしています。空家バンクなどを見て全国からほぼ毎日、電話やメールで問い合わせがあります。「問い合わせてくる人は、農業を始めたいとか自然豊かなところで子どもを育てたいなど、目的を持っている方がほとんどです」とAさん。電話やメールなどで話を聞き、実際に希望者と一緒に現地をうかがい空家を見てもらいます。
「登録していただいている物件は、高齢化が進んで、農林業を廃業し住まなくなった空家が中心です」。地主さんや自治会を訪ねて、「空家バンク」などに登録してもらうのもAさんの仕事。空家を放置すると防災面でも地域インフラの維持のうえでも問題が発生するため、自治会の方々にも空家登録の協力をお願いしているそうです。登録してもらう際は、間取りや設備の状態だけでなく、地域の状況も詳しく聞き取ります。「地域のお祭りや草刈りなどの行事や自治会費のことなども、空家を紹介するときにはきちんと伝えなければなりません」。Aさんは、空家を希望する人と住民が増えてほしい自治会(地域)とのベストマッチングを目指します。
地域の良いところ大変なところ丸ごと知って
これまで空家希望者に紹介してきた中で残念だったことや苦労していることもお聞きしました。「せっかく契約して移り住んだのに2年もたたないうちに引っ越してしまった例があることです」とAさん。理由は、思ったより気候が厳しかったことや自治会との関わりが上手にいかなかったことなどです。Aさんは、地域ごとに独自の歴史や文化があり、空家に入居する人にとって良いところも大変なところもあると話します。「自然豊かなところだからこそ不便もあり、地域全体で助け合って乗り越えてきた歴史もあります。希望者には丸ごと知ってもらいたい」。
Aさんは、できるだけ地域をまわって、定型の調書だけでない地域の実情や暮らしの様子を聞き、活かしていきたいと努力しています。昨年は、もっと地域を知ってもらおうと、1泊の空家紹介ツアーを企画しました。「空家を見てもらうのはもちろん、地域の家に泊まって交流を深め、翌日には実際に農業や特産品の製造をしてもらいました。多くの参加でよかったです」。
「限界集落」の課題に住民・地域とともに
取材の際、見せていただいたのが「移住立国はじめます『カモナヤベ』」のパンフレット。住民の声や移住者の声、市の定住サポート紹介などわかりやすく説明されています。Aさんは、「いま私が担当している“空家”だけでなく、地域の交流や地域特産品の開発なども定住・地域政策課で支援しています」と話してくれました。
どの取り組みも、地域住民の意見や生活を丁寧にくみ取り、住民に寄り添って、元気付けるものです。条例指定地域での定住支援では一昨年は30世帯79人を受け入れ、特産物などの農業ボランティアには府内外から50人近くの参加がそれを物語っています。
「限界集落」課題や2040年問題など、自治体にとって厳しい報告がされる中で、Aさんのやりがいと、綾部市のこれら取り組みの前進を願わずにはいられません。
京都自治労連 第1962号(2020年5月5日発行)より