機関紙 - 第3回 タッちゃんが訪ねるふるさと再生
今回は、すすむ高齢化と里山の環境悪化に「まちづくり協議会」(会長藪内秀弘、27人)を立ち上げて、住民と力を合わせて立ち向かっている宇治市職員の梅原孝さんを訪ねた。
力合わせることが元気と自信の源
宇治市志津川地区
雪解け水で増水した宇治川を早春の息吹を感じながら遡り、天ヶ瀬ダムの放水の轟音が響く谷を渡ってしばらく走ると、それまでの景色が嘘のようなのどかな里山の志津川地区が現れる。
梅原さんたちが地域の問題に取り組むきっかけとなったのが、地区外の建築資材業者による騒音・野焼などの公害問題への取り組みだった。地域の住環境を守るためには、「住民が力を合わせ行動することが必要」と実感した。改めて地域を見回すと、蛍が飛び交う美しい河川は汚れ山は荒れていた。梅原さんらは、「次はこの問題に取りかかろう」と話し合った。
アンケートに衝撃
2008年に実施した「まちづくり区民アンケート」の結果に梅原さんたちは衝撃を受けた。「住み続けたい」との答えが40%しかなく、「転居したい」が22%もあった。事実、宇治市の他の山間地域の人口は増えているのに、志津川地区だけが減少していた。
そこで、2009年3月に「まちづくり協議会」を設置。役員体制を決めるとともに、三つの目標と課題を確認した。第一は、緑豊かな自然を生かしたまちづくり。第二は、生涯住み続けられる住環境をつくるまちづくり。第三は、助け合っていきていけるまちづくり。
月一回の協議会を基本に、まちづくりの先進地域を視察し、志津川地域の様々なタウンウォッチングに取り組み地域の魅力や課題を明らかにし、問題点の改善に取り組んでいる。(昨年1月、宇治市で5番目のまちづくり協議会に認定)
まず最初に始めたのが、「ほたる舞う志津川をさらに良くしたい」との想いから、地域のシンボルでもある志津川の環境保全活動だった。府保健環境研究所から専門家に来てもらいホタルについての学習、河川ウォッチングを行い蛍や鮎の生息環境を調査した。また、今年1月には、竹に覆われ通れなくなっていた市道の改修作業を実施。3月5日には、鳥獣外被害が深刻さを増す中で予防対策の学習会も行うことにしている。
いっしょに汗流せば
まちづくり推進協議会では、月一回の協議会の模様や様々な取り組みをニュースにして全戸に配布。すでに15号になり住民から喜ばれている。
二年間の一番の変化を梅原さんは「参加しているみんなが元気になっている。地域を良くしていくために、力を合わせてやり遂げることで自信が付いてきた」と言う。
今後の計画として、年2回の収穫祭や野菜の無人販売などにもチャレンジしたいと言う。
梅原さんはこの3月で定年退職を迎える。会長の藪内さんは「心強い。4月から家にいてくれる。いままで昼間家にいるのは私ひとりやった」と大歓迎。
「自治体労働者は住民が困っている時に逃げたらアカン。地域の役を持てば、自治体の姿が見えてくる」「『市職労は、住民の一番困っているところ、困難なところを引き受けて頑張るんや』といつも自治労連運動で聞かされてきた。学んだことを退職後も地域に返したい」熱く語る梅原さんに元気を注入された。
京都自治労連 第1747号(2011年3月5日発行)より