機関紙 - 【いのちの署名キャンペーン】シリーズ・コロナ禍の社会保障を問う2…「経済的医療崩壊」に直面 国は全医療機関に減収補填を
コロナ禍において日本の「医療崩壊」には二つの側面があります。第一の側面である「患者の急増に医師、看護師、病床の数が足りない」については10月号に掲載しました。今回は、医療機関の経営困難による「経済的医療崩壊」について触れます。
コロナ患者受け入れ病院平均月1億円の赤字
新型コロナを受け入れる病院は、病床を空け、医師、看護師の特別配置や病床・病棟の改造などの出費、一般病床の縮小や手術・検診の延期、防護具の調達など、膨大な財政的負担がかかります。
コロナ患者を受け入れた病院の4月利益率は、マイナス11.8%、一病院当たり平均で月1億円の赤字。全国医学部病院長会議と日本看護協会は、新型コロナ患者を受け入れている全国77の大学病院が、2020年度の一年間で5000億円の減収が生じると発表しました。
新型コロナ患者を受け入れていない病院・診療所でも、感染を恐れた受診抑制で、4月は90%の医療機関が減収。うち30%が5割以上の減収です。各医療団体からは、国に対して抜本的な財政支援を求めています。
こうした中、「コロナによる患者の減少」「感染予防対策のための経費や人件費の増加」を理由に、3割の医療機関で医療従事者がボーナスカットにあうという、異常事態が起こっています。
政府の政策で病院はギリギリ
この20年間にわたる政府の「医療費抑制政策」によって、診療報酬は、2002年度から20年度までの11回の改定で、本体・薬価合わせて12.67%ものマイナスとなり医療給付費ベースで4兆円も削減されました。01年と18年の収益率の変化を見ると、まさにギリギリの状態です。(表参照)
国の責任で、すべての医療機関に減収補填を行い、医療従事者の処遇改善、医療防具や医療用材料を国の責任で確保するなど、緊急の手立てが求められています。
京都自治労連 第1968号(2020年11月5日発行)より