機関紙 - 止まらない物価高騰…だからこそ大幅賃上げで生活改善を…京都自治労連2023春闘アンケート
京都自治労連が実施した2023春闘「働くみんなの要求・職場アンケート」は2月18日時点で、26単組から正規職員・再任用職員2918人、会計年度任用職員、臨時・非常勤嘱託職員など1113人の回答が寄せられました。(カッコ内は昨年数値)
■正規職員の生活・仕事実態と賃上げ・職場環境
「生活が苦しい」が過半数を占める
昨今の急激な物価高騰が生活・家計に大きな影響を及ぼしています。生活実感は「かなり苦しい」「やや苦しい」が52.5%(46.2)と半数を超え、負担費目では食費37.9%(24.7)が14ポイント、光熱水費35.3%(14.1)が21ポイントと、それぞれ昨年の1.5〜2倍以上の回答となり、物価高騰による家計負担の実態が明らかになっています。
食費や光熱水費は節約費目でも高い比率となっており、暮らしていくために不可欠なものを切り詰めなければいけない状況にあります。また、ガソリン高騰が続くなか昨年同様に「交通費(ガソリン代含む)」の負担感も変わっていません。
昨年と比べた賃金比較では33.8%(26.3)が「増えた」と回答していますが、物価高騰による家計負担上昇で賃上げを実感できない状況にあるのではないでしょうか。それを反映するように、賃上げ要求(月額)では2万円や3万円への回答が減り、「5万円以上」への回答が39.8%(33.8)と4割を占める結果となりました。
賃上げを求める声が7割をこえる
職場の労働実態では、不払い残業の実態をみると「ある」29.8%(36.5)と回答した方が減少し、「ない」58.7%(51.5)が増加したことは不払い残業の実態が改善してきているとみることができます。しかし、「80時間以上」の回答が1.5%(0.7)と増えていること、そもそも不払い残業が発生していること自体の根絶が必要です。
昨年と比較した業務量について、「減っている」との回答は横ばい、「増えた」は若干減少したものの5割以上が職場・個人での業務量が増加したと答えています。増加する業務量の一方で、職場人員をみると「足りていない」64.8%(65.4)が6割以上を占め、依然として人員不足の解消、業務量に見合う職場の人員補充・改善は進んでいません。
労働条件改善は、4人に3人が「賃上げ」を求め、人員増や人員配置の改善、業務量の削減を求める結果となっています。「仕事と家庭の両立支援・充実」は20代〜40代の子育て世代で10%半ばから20%前半と高い要求結果となっています。
■非正規職員の生活・仕事実態と賃上げ・職場要求
食費・光熱水費の負担増で生活実感は悪化
正規職員同様に、物価高騰による生活・家計負担は非正規職員にも大きな影響を及ぼしています。生活実感は「かなり苦しい」「やや苦しい」が54.1%(52.1)と昨年よりも悪化しました。家計の負担費目をみると、食費37.9%(22.9)、光熱水費40.5%(20.5)の2つが高い比率を占めています。節約費目をみても、食費44.8%(37.6)、光熱水費23.0%(17.3)が増加し、暮らしていくために不可欠なものを切り詰めなければいけない実態が明らかになっています。
昨年との賃金比較では、正規職員と異なり、「増えた」が19.6%(23.0)と3ポイント減少、「減った」が22.3%(19.1)と増加しています。基本給は増えず、期末手当の一時金は減ることはあっても増えることがない不十分な給与制度を反映しています。
賃金改善要求では物価高騰での生活改善を求めることに比例するように、月額5万円への回答が27.1%(20.8)と最も多く、時間額でも400円以上19.5%を筆頭に「200円以上」の賃上げ要求が44.8%(35.7)を占める結果となっています。
賃金改善と雇用の安定が要求の主軸
会計年度任用職員制度が導入され、「3年公募」の期限となる3月末を控えるなか、「雇用契約が更新されないのではないか」31.6%、「職場や仕事が無くなるのではないか」20.6%との雇用不安を訴える声は切実です。回答者の約8割が仕事へのやりがいを感じている一方で、「賃金が安い」55.5%、「正規職員との格差」27.9%に対する不満や怒りも大きくなっています。また、「人手が足りない」との回答が27.7%(14.5)と倍増し、職場の人員不足が深刻であることを示しています。
労働条件改善では、賃金改善(基本給、経験給、一時金、退職金)と、雇用安定(期間延長、公募撤廃、正規職員化)が二大要求となっています。また、休暇制度の充実を求める声も寄せられています。
京都自治労連 第1996号(2023年3月5日発行)より