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機関紙 - あの人に会いたい31 医師 京都民主医療機関連合会会長 中川 洋寿さん…命にかかわる健康保険証廃止 マイナ保険証は白紙撤回を

あの人に会いたい31 医師 京都民主医療機関連合会会長 中川 洋寿さん…命にかかわる健康保険証廃止 マイナ保険証は白紙撤回を

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組合活動
 2023/8/5 14:00

なかがわ・ひろかず=
1989年 滋賀医科大学卒業
同 年 京都民医連で研修開始
1992年 京都民医連中央病院整形外科
2018年 同院 副院長
2022年 京都民医連 会長


マイナ保険証のメリットは何もない
首長は住民守る積極的役割を

2024年秋から「健康保険証を廃止しマイナンバーカードに一体化する」法律案が、問題が噴出しているにもかかわらず通常国会で強行可決され、大混乱に拍車がかかっています。住民の命にかかわる重大問題であるとともに、自治体や自治体職員にとっても大きな問題です。京都民主医療機関連合会会長の中川洋寿先生にお話を伺いました。

健康保険証を廃止して、マイナンバーカードと一体になれば何が問題なのですか

そもそも、マイナンバーカードの取得は義務ではありません。「任意」となっています。しかし岸田政権は、今ある健康保険証を2024年秋に廃止してマイナンバーカードと一体化させ、「マイナ保険証を持たなければ医療機関の受診に著しい不便が生じかねない」と脅して取得を強要しているところが問題なのです。

現在は、健康保険に加入する被保険者に、保険証を届けることが保険者に義務付けられています。しかし、健康保険証廃止後は、被保険者からの申請制に変わります。保険料を払っても申請手続きをしなければ、保険診療を受けられなくなります。これは日本が誇る国民皆保険制度の根幹を揺るがす大問題です。

マイナンバーカードを持たない人や紛失や更新中の人、マイナンバーカードが申請できない介護が必要な高齢者、障害のある方などはどうなるのでしょうか。

政府は、マイナンバーカードを持っていない国民に、保険証の廃止後、保険加入の「資格証明書」を発行するとしていますが、申請が必要で有効期限も発行から1年間で毎年更新手続きも必要です。また、マイナンバーカードの有効期限は5年間、5年ごとに更新手続きが必要です。

さらに、介護の現場も深刻です。現在、老健施設などでは保険証を施設が預かっていますが、マイナンバーカードは保険証とは全く違います。暗証番号も含め、簡単にあずかれるものではありません。

様々な事情で、申請できない人がでることは避けられず、政府の政策で「無保険者」を生み出すことになります。保険証の廃止は、国民に多大な不利益をもたらし、国の国民への受診権を保障する義務を投げ捨て、国民皆保険制度を内側から壊すもので断じて認めるわけにはいきません。今の健康保険証で何の問題もありません。そのまま使えるようにすれば、何の問題もないのです。

今、医療機関でどんな問題が起こっていますか、今後予想される問題についてもお話しください

開業医で組織されている全国保険医団体連合会の調査によると、医療機関で5493件ものトラブルが発生し、実に65%の医療機関が経験しています。本人と確認することが出来ずに、いったん10割を徴収した例が209件、診療を受けずに帰宅してしまった人も出ています。このまま保険証廃止を強行すれば、トラブルは108万件以上になるという推計もあります。「診療がスムーズになる」とのうたい文句ですが、このままでは、現場は大混乱になることは間違いありません。薬の情報にしても、反映は1ヶ月程度のタイムラグがあると言われており、「お薬手帳」で十分なのです。

マイナンバーカードと保険証の一体化によるトラブルは、他人の医療情報が紐付けされていたなど、命にかかわる危険があり絶対あってはならないことです。

大混乱を招いていますが、それでも強行するのはなぜと思われますか

そもそもマイナンバーカードの導入は、日本経団連が2000年ごろから言い出したのが始まりです。国民一人一人が収めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにして、"この人は負担に比べて給付が厚すぎる"等として、医療、介護、福祉などの給付減・負担増を度々提言してきました。「負担に見合った給付」の名で社会保障の給付を抑制し、国の財政負担、大企業の税・社会保険料負担を削減していくことが、マイナンバー制度を導入した政府・財界の大きなねらいです。

さらに、政府が集めた膨大な国民の情報を活用して、新たなビジネス、市場開拓に使うことが目的です。デジタル法では、情報漏洩などについて政府は一切責任を取らないことになっています。また運用も、閣議決定だけでドンドン変えることが出来る危険なものです。

マイナ保険証をストップさせ、国民皆保険制度を守るためにどのような取り組みが必要でしょうか 

世論が大きく変化し、各種世論調査でも「反対」が軒並み7割を超えています。国民にとって健康保険証を廃止することにメリットは何もありません。しかし政府が、来年10月からの実施をガンとして変えようとしないのであれば、今、声を上げるしかありません。この問題は、いのちと健康に直結しているので、国民の問題意識も高く、急いで事の重大性、マイナ保険証の問題点を広く知らせて、「戦争法」の時のような運動に発展させることが求められています。

自治体や職員への要望をお話しください

コロナの3年間、自治体職員の皆さんには大変な負担がかかり苦労されてきました。医療機関も、患者受け入れやクラスターの発生などかつてない事態を皆さんとともに、乗り越えてきました。

コロナ禍の背景にある原因は、医師数削減、病床や介護費用の削減などの医療・社会保障費の抑制政策です。しかし、政府はそれを改めず、新たな病床削減や「医師の働き方改革」に名を借りた医師の引き揚げなどを進めようとしています。その流れの中で出てきたのがマイナ保険証の導入です。

住民のいのちと健康を守ってきた国民皆保険制度が大きな岐路に立たされています。このことを広く知らせるとともに、現場で働く皆さんは住民の声を直接聞いておられますから、それを集めて発信していただきたいです。

今、地方議会でのマイナ保険証の導入に反対する意見書の採択が広がっています。今こそ、知事をはじめ自治体の首長や地方議会は、住民を守るために「マイナ保険証に反対」の態度表明を行うなど、積極的な役割を果たすべきです。


京都自治労連 第2001号(2023年8月5日発行)より

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