機関紙 - 原発はまちを歪め、産業を衰退させる 原発ゼロをめざし、住民との共同行動を 〜6・25北部原発学習会にたくさんの市民〜
福島原発事故の出口が見えず、ますます混迷を深める中、世界一原発が集中する福井県若狭地域に隣接する京都北部地域では、原発問題と安全対策は住民のいのちに関わる重大な問題となっています。こうした中、6月25日、京都自治労連は北部原発学習会「原発問題と自治体の役割」を開催しました。
当日は、地元紙への案内ビラの折込みで「学習会」を知った市民も多く、全体で83人が参加。熱心に講師の話に聞き入りました。
巨大な原発を前に恐怖を実感
午前中は、午後からの学習会に先立って、「大飯原発・高浜原発現地見学会」が行われ14人が参加。現地見学会には、午後の学習会の講師をお願いしている山本雅彦さん(原発問題住民運動全国センター代表委員)も同行。大飯原発の隣接する「エル・パークおおい」(大飯原発のPR館)で実際の原子炉格納容器を3分の1スケールで再現した模型を使っての、原子力発電の仕組みについて説明を受けました。
原発の外観を見る事が出来る高浜原発に移動。山本さんから、高浜原発の特徴や、福島原発事故と比較して、地震・津波対策、外部電源問題などの問題点などを分かりやすく説明を受け、改めて、まともな地震・津波対策がほとんどなされていない事がよく分かり、参加者は、巨大な原発を前にその危険性を再認識しました。
ガン死亡者の予測数にどよめき
午後の学習会では、日本科学者会議京都支部事務局長の宗川吉汪氏(京都工芸繊維大学名誉教授)が講演。若狭湾の原発群の現状や、これまでの度重なる事故の中には、あと一歩で重大事態になっていた事故もあることを明らかにしました。
また、福島原発事故による集団被曝線量リスクについて、米国の科学者の追跡調査に基づく試算から、福島市全体で被曝によるガン死亡者は1160人、小学生以下では650人になる試算が示され、会場からどよめきが起こりました。
宗川さんは、たまり続ける使用積み燃料の処理方法が確立されていない問題などを明らかにし、“許容量はゼロ”だと厳しく批判しました。
自治体の役割については、エネルギーの民主化、送電と発電の分離、自然エネルギーの活用、原発の監視とともに、自治体におけるしっかりした防災計画の確立と、住民への周知、訓練、学習の重要性を強調しました。
原発交付金がまちを歪める
続いて、原発銀座といわれる福井県の現状について、山本雅彦氏が報告。山本氏は、かつて自身が原発労働者であった事にも触れながら、莫大な原発交付金で産業構造が歪み、ものづくりが衰退している実態や、自治体財政が歪んでいる実態を、原発を誘致している高浜町や大飯町と原発を誘致していない小浜市との財政指標の比較を行いながら明らかにしました。
また、小浜市議会で、「原発からの撤退を求める」意見書が全会一致で採択された変化にも触れながら、原発に変わるエネルギー獲得へ、産業・まちをいかにつくるかを真剣に模索する時代がきていると自治体の役割を強調しました。
参加者からは、「聞けば聞くほど危険な事がよくわかった」「もっと学習が必要、もっと市民に知らせてほしい」などたくさんの声が寄せられました。
京都自治労連 第1755号(2011年7月5日発行)より