機関紙 - 【産業支援】永続可能な起業・創業をバックアップ…宮津で末永く事業を続けてもらいたい…あたらしいとりくみで地域産業支援
全国どこの自治体でも、地域産業の支援、振興は重要な課題です。財政が厳しい中でも、様々なアイデアや工夫で、商工業、農業、水産業を支援しています。
そんな中でも、今注目のふるさと納税とクラウドファンディングを結び付けた事業を展開している宮津市商工観光課のCさんに、補助金などの制度設計と地域の産業支援についてお話を伺いました。
行政の商工振興事業にクラウドファンディング活用
宮津市は、商工会議所と一緒に様々な事業者支援を行っています。最近では、地元金融機関、専門家等とも連携しながら、市内で新規に事業を起ち上げたい人や、事業内容をブラッシュアップしたい人に向けて、「未来天橋塾」と銘打った参加型・実践型の塾を開催しています。Cさんはこの取り組みの担当で、これまでも積極的に係わって、市内の商工業の実態や塾に参加する起業者の思いなどを学びました。「市内で操業している皆さんやこれから起業したい方、新商品を開発したい方などが安心して利用できる支援制度をつくりたかった」と制度設計への思いを話します。その新しい制度は「ふるさと納税型クラウドファンディング活用事業補助金」。名前の通り、クラウドファンディング(以下CF)にすることで、起業内容や新商品に対する市場の反応などを確認することができ、さらにふるさと納税型にしてCFへの参加者へ信用と安心感を与え、寄附促進にも繋げます。市役所内でふるさと納税を担当している課とも何回もすりあわせをしたと言います。
「ふるさと納税のしくみもCFのしくみも何もわからなくて一から勉強しました」とCさん。「最大の目標は宮津で末永く事業を続けてもらうことです」と強調します。また、これまでの補助金にありがちなお金を渡すだけではない制度にもなりました。
市場の変化に迅速に対応した産業支援
宮津市の基幹産業で観光業は大きな柱のひとつです。宮津市は「美食のまちづくり推進事業」として、食の魅力を観光業のみならず農林水産業、製造業などへと広げていく取り組みを行っています。この事業もCさんが担当です。
最近では「宿食分離」といわれ、旅館やホテルで食事をせず(飲食を提供しない)に外で食事をする旅行スタイルに変化しているといい、「宿食分離」で食事難民が出ていると言われています。「それがどの程度のものなのか現在調査を行っています。地域の状況を正確に把握し、商工会議所など連携機関に発信していくのも行政側の重要な役割だと考えています」とCさん。どこの観光地でも課題となっていますが、宮津市でも観光客がくる土日祝祭日と平日の人口差がとても大きく、飲食業で起業を考えている人には大きなネックになります。「市場や地域の変化にあわせて補助金制度や支援制度の柔軟性や見直しも大事だと思います」と企画立案やその検証に日々頭を悩ませています。
部署間連携して企画ができる苦労と楽しさ
Cさんは入庁して15年目。これまで企画や政策、観光にかかわる部署に所属し、立案と実施を担当してきました。「役所の中には本当にたくさんの部署があって、それぞれノウハウやアイデアを持っています」「上司や先輩らのアドバイスは本当にうれしい。励みになります」と立案中の楽しさ、やりがい、仲間への感謝を話します。
インタビューでCさんから出てくる言葉は、宮津市をいい街にするために役所に何ができるか、そんなことをいつも考えていることがうかがえ、楽しくお話が聞けました。
京都自治労連 第2014号(2024年9月5日発行)より