機関紙 - いま、伊根町で大変なことが・・・数の横暴 不当な議員発議 法違反・ルール無視ゆるさない
いま、伊根町で異常な事態が起きています。住居手当の全廃・通勤手当削減を内容とする違憲・違法な「条約改正案」等を議員発議で提案し、数を力に強行を狙っており予断を許さぬ情勢となっています。伊根町職の石野委員長と吉本秀樹町長は、議会で堂々と条例案の不当性を説き、厳しく批判。道理ある追究にまともに反論できない提案議員に、「あきれた」との声が広がっています。
住居手当全廃・通勤手当削減など
提案された条例案は「職員給与条例改正案」と「伊根町定住促進補助金交付条例制定」。内容は、借家住まいの職員への住居手当の全廃と通勤手当削減で、浮かせた300万円を原資に、同町の賃貸住宅に居住する町民に町職員と同等の家賃補助を行うというもの。しかし、5年間限定、所得制限や50歳以上はいっさい補助金がないなど、矛盾に満ちた内容です。この2つの条例案には、重大な法違反・ルール違反の内容が含まれています。
まず、職員の給与・労働条件は、使用者と労働組合が交渉を行い合意した内容を首長が条例案として議会に提出し議決を得るという、当然の労使間ルールを無視していることです。地方公務員法24条では給与決定基準を定め、また同法55条では交渉事者は首長であることを明確に規定しています。今回の行為は、行政権への介入にもあたり、明らかに法違反です。
また、職員が町内に移住することを強制しようとするなら、居住の自由をうばう憲法違反です。
さらに、どうして職員手当削減が「災害に強いまちづくり」につながるのか、まったく意味不明で、発議者も質問に答えられない状態です。このようなことが強行されれば、伊根町における優秀な人材確保にも重大な影響を与えると危惧されます。
条例案の不当性厳しく指摘
2月2日に開催された総務委員会では、吉本町長と町職石野委員長がそれぞれ条例案に対する意見を述べました。
吉本町長は約40分にわたり、憲法や地方自治法、地方公務員法など諸法令の観点から明確に違反していることを指摘するとともに、町長権限への介入であること、差別を容認する内容であることなど、条例案の不当性を説き、このような条例が通れば伊根町にとって大きな後退となると言い切りました。
労使交渉で決めるのがルール
石野委員長は「職員の給与労働条件は労使交渉で決める」もので、「議会からの一方的な削減は納得できない。結局、人件費削減だけが狙いなのか」と条例案への批判意見を述べました。
予断を許さない
発議者側は問題だらけの条例案を2月9日の総務委員会で数の力を背景に、一部修正はしたものの賛成多数で可決させました。3月9日開会予定の3月定例会で採決されることになっており、予断を許さない情勢となっています。
京都自治労連は、発議がされて以降、伊根町職と協議も重ねながら不当な条例案の否決をめざして取り組みを進めています。
伊根町職に「不当な発議の否決めざしてともに頑張ろう」と、また町当局にも「毅然とした態度、地球に敬意を表します。不当な介入を許さず地方自治を守るために最後まで奮闘を」と、エールを送りましょう。
京都自治労連 第1771号(2012年3月5日発行)より