機関紙 - 委員長あいさつ 脱原発・非正規職員組織化・地域の繁栄を3つの柱に
京都自治労連執行委員長 池田 豊
大会代議員の皆さん、来賓の皆さん、暑い中ごくろうさまです。
私は、本日の京都自治労連大会がどういう大会なのか、自治体労働運動はどういう労働組合運動をめざすのか、その点について触れさせていただきます。
京都自治労連は3つの方向で運動を作っていこうと思います。1つは、脱原発と再生可能エネルギーへの転換、2つ目は、自治体労働組合として、地域の繁栄、経済活性化をどう作るのか、また住民生活をどう守るのか、3つ目には、公務職場における非正規職員の組織化と均等待遇の実現です。この3つを京都自治労連の運動の柱にしながら、私たち自身の権利、労働条件、賃金、の闘いを発展させていこうと考えています。
原発ゼロへ連帯の取り組み
原発問題については、現実に起きていることを正確に知ることが重要です。
先日、府職労連学校で河北新報記者の話を聞きました。放射能汚染地域では一時帰宅が認められても、帰るたびに戻ることを諦めるようになっていく。現実を知ることが希望に繋がらない、絶望を突き付けられる。時間とともに風景が変わり復興していくのとは違う原発被害の深刻な問題がある。原発・震災関連での自殺者が福島だけで761人も出ているという話もされていました。
こういう現実があるにも係わらず、中部電力の社員は、放射能被害で誰ひとり死んでいませんと堂々と胸をはって言う。こういう現実があります。帰ることが認められたところでは、役場が帰り、公務員が帰り、学校の先生が帰る、しかし住民は帰ってこない。補償が切られる、子どもを安心して育てることができない、そして何よりも仕事がない。この現実を原発事故が引き起こしているわけです。
となりの福井県ではおおい町、高浜町、美浜町、わずか人口2万8千人のところに11基の原発がある。舞鶴市は30キロ圏内に全てが入る。そういう現実があります。ですから私たち自治体労働者こそがこの問題に正面から取り組んでいく必要があると考えます。
6月28日に舞鶴市が地域防災計画を発表しました。しかし、どこに避難するかが書かれていない。あらためて思ったのは本当の意味での原発防災は原発を無くすことです。私たちは舞鶴市職労の提案を受け、おおい町の財政研究会を立命館大学の研究室の協力も得て立ち上げ、町の再建についての方策を地元の人と一緒に作っていきたい。原発問題での全国に先駆けての取り組みになるだろうと思います。あわせて再生可能エネルギーへの転換の研究会と、具体的な提案、そして全ての地域で原発ゼロに向けた住民運動との連帯に取り組んでいきたいと考えています。
均等待遇へ全力を
2つ目は非正規の問題です。京都府には3万人弱の公務員がいます。そして非正規の職員が約1万人仕事についています。非正規問題は限界にまで来ています。
1つは、人件費抑制のために正規職員の置換え、差替えで、全く同じ仕事をしているにも関わらず低賃金に抑え込まれている。均等待遇に向けた運動に全力を挙げる必要があります。同時に職場の在り様も大きな矛盾を抱えています。長期の同じ職場での非正規雇用で仕事にはとても精通しているが、その一方で低賃に置かれたまま、未組織で昇給実現する道筋も見えない。この現実を見過ごすわけにはいきません。
私たちは均等待遇の実現と、非正規職員の組織化の問題を正面に掲げてやっていきたい。この1年間で京丹後市や宮津市でこうむ公共一般を新たに立ち上げることができました。
地域から貧困なくす運動
3つ目の地域経済の問題です。地域の繁栄、循環型経済の実現は、私たち自治体労働者としての存在を支え、働きがい、やりがいそのものではないかと考えています。
京都市長選挙を契機に進んだ公契約条例の運動や、与謝野町で条例化された中小企業振興条例など、動きが出始めています。公契約条例の実現に向けて、西日本は遅れています。何としても京都府の中で、風穴を開けたいと考えています。
公務員バッシング、あるいは大阪市の橋下市長のファッショ的なやり方を支えているのは、社会の貧困だと考えます。だからこそ、公務労働組合運動として、この貧困をなくすための運動、そのことを抜きには私たちの賃金、労働条件の改善、権利を守ることはできないだろうと思います。「地域の繁栄なくして自治体労働者の幸せなし」を今日的にすすめる必要があります。
3つの点を柱にして、私たち自身の賃金、労働条件の改善、権利を守る取り組み、そういうことをやっていきたいと思っていますので、今日一日の皆さんの活発な討論をお願いしまして、開会の挨拶とします。
京都自治労連 2012年7月26日 号外 定期大会特集号 より