機関紙 - 図書館の役割は知る権利を守る所 安定した職員が不可欠
人と本が出会い、人と人が出会える場所でありたい:精華町職員組合 Kさん
精華町立図書館は、人口1000人当たりの貸出本の数が京都では、京田辺市に次いで第2位。全国の同人口規模の自治体でベスト20位に常時入る住民から親しまれている町立図書館です。その秘密や職員の現状などを、精華町立図書館に勤務するKさんに聞きました。
司書集団の奮闘が人気の支え
町立図書館は11年前にオープン。正規職員3人、嘱託職員8人(館長も嘱託)、アルバイト6人の17人体制で運営しています。
図書館の人気の理由をKさんは、広くて明るい、子どもコーナーの充実、駐車場が広い等のハード面の充実と、「司書集団(正規職員3人中2人、嘱託・アルバイト職員は全員が司書)として、利用者の要望に応える努力を日々おこない、図書館の役割を果たしていることが評価されているのでは」と言います。
この図書館では、貸出されている本の4割が子ども向けで、よく利用し、親子連れでもゆったり過ごせる造りです。
「ブックスタート」として、乳児の10か月健診の日には、保健センターに出張し、子どもが本と接する機会を作っています。また、緊急雇用対策として町が小中学校に配置した司書をバックアップ。研修や定期的に巡回してサポートもしています。Kさんは「本を好きでない子どもが、本を好きになれば人生が変わるかも」と話します。
大人向けにもさまざまな工夫を行ない、「人と本が出会い、人と人が出会う場所になれる図書館」をKさんたちは目指しています。
1日5千冊が出入り手は荒れ、腱鞘炎に
こうした図書館を支える職員の努力も大変です。一日に出し入れする本は、約5000冊。手は腱鞘炎になり、立ちっぱなしの仕事で手荒れもひどいとKさん。一冊の本を渡すために、大変な努力をしています。
業務の中心に嘱託・アルバイト
さらに、現在の図書館の実務的な中心は、嘱託・アルバイト職員で、事務職の正規職員は管理の仕事が中心になっています。Kさんは「図書館に責任を持つためには、司書を正規で雇用すべき。本来、図書館は知る権利を守る所。娯楽だけではない施設だからこそ安定した職員が必要」と言葉に力が入ります。
Kさんたちは、司書の採用が非常に少ないもとで、「嘱託・アルバイトの仲間の条件が少しでも良くなれば」と、みんなに組合に加入してもらい、待遇改善の取り組みにも力を入れています。
京都自治労連 第1791号(2013年1月5日発行)より