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機関紙 - 住民の『命の水』を考える…国の狙う「広域化」「民営化」では水道は守れない…北部自治体学校

住民の『命の水』を考える…国の狙う「広域化」「民営化」では水道は守れない…北部自治体学校

カテゴリ : 
組合活動
 2019/12/11 9:20

 政府は、人口減少や水道施設の老朽化などの課題に対応するため水道基盤を強化するとし、2018年12月12日に水道法の改正を行いました。それにともない、全国で広域化、民営化の動きが活発化しています。

 水道事業の広域化や民営化は、自治体、住民にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 12月1日、与謝野町の「知遊館」ホールで、京都自治体問題研究所・北部自治体学校実行委員会主催で北部自治体学校が、「命の水を考える」をテーマに、開催されました。

 会場には、自治体の職員、府・市・町の議員、住民など70人以上が参加しました。

自治体を大手企業の「もうけ」の場に

 冒頭、主催者あいさつに立った京都自治体問題研究所の池田豊副理事長は、2014年に政府諮問機関である日本創生会議が2040年には人口減少により今の自治体が半減すると報告した増田レポートに触れ、「地方自治体は『選択と集中』を迫られ、自治体の役割を見直しせざるを得ない状況になっている。その中で、自治体が大企業のもうけの場として市場開放が狙われている。水道もそのひとつ」とし、今回の自治体学校開催の主旨を話しました。

地域の将来像を見据えた水道を

 続いての講演では、近畿水問題合同研究所で事務局長を務める植本真司さんが、「持続可能な水道を考える」をテーマに講演しました。植本さんは大阪・堺市の水道職場に長年勤めていた経験を持ち、水道の現場から事業経営と幅広い目線から水道問題を話していただきました。

 植本さんは、今の水道事業には、人口減による水供給のアンバランスと施設の老朽化・耐震化、人材不足による業務の多忙化、技術の継承と、3つの課題を挙げ、「これらの課題に対し、政府は、広域化・民営化で解決するといっているが、今推し進めている手法では解決しない」とし、「昨年施行された水道法改正の問題点や事業の民間委託やコンセッション導入についての調査費を全額国が負担するなど、誘導する国のやり方は、国民に対する国の責任の放棄だ」と批判しました。

 植本さんは、「『水は人権』と考えるのが、世界の流れとなっている。地域単位で将来の地域像を考え、持続可能な水道運営を考えていくことが大事だ」としました。

広域化・民営化に住民が厳しい目を

 講演に続いて、各地の取り組みとして2本の報告を受けました。

 最初に、「浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク」の池谷たか子さんが、静岡・浜松市で水道民営化にストップさせたこれまでの取り組みを報告しました。

 池谷さんは、安定している浜松市の水道事業を、国主導で大企業に売り渡そうとする市当局に対し、事実を明らかにし市民の共同を広げ、民営化を止めたことを報告。「民営化ありきで、出される情報もいいかげんなものばかり。市民ネットワークで勉強会や報告会を重ね、実態を明らかにしていった」「水源別の使用実績や水道職員の配置なども明らかにし、『水道事業は公営でもいい』と提案。市民や地元企業へも共同が広がった」と報告。「市長はまだあきらめていない。運動は続けていく」と決意を語りました。

 続いて、まいづる市民自治研究所事務局長の長谷博司さんから、地元京都北部ですすむ広域化・民営化への調査報告がありました。

 長谷さんは、「京都府が『京都水道グランドデザイン(府水道ビジョン)』が2018年11月に策定され、これにのっとって、着々と進められている」とし、市町村水道事業連絡会議、広域的連携等推進委員会などの設置・開催などが報告されました。「住民に知らせない。そして住民が知らないまま、すすんでいくことを危惧している。市民として注視していきたい」と話しました。

 会場からの発言でも、「コンセッション方式など、民営化は契約のときから市民、議会がきちんとチェックできるのか?」「広域化で地域ごとの水道運営が守られるのか心配」など声が上がりました。


京都自治労連 第1956号(2019年12月5日発行)より

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