機関紙 - 学童 子どもの生活家庭支える放課後児童クラブ…「ただいま」「おかえりなさい」子どもが安心してすごせる場所に
学童保育は、戦後から全国さまざまな形で行われてきましたが、住民ニーズの高まりから注目され、近年ようやく法整備も進んできました。
今回紹介する長岡京市は、10ある小学校すべてに、放課後児童クラブがあり、各学校の敷地内に施設を設け、公設公営で学童保育を行っています。
授業を終えた子が駆け込んでくる
神足放課後児童クラブに勤務するBさんは、学童保育の指導員になって20年以上。授業を終えた子どもが「ただいま」と部屋に入ってくる声で子どもの様子がわかるといいます。「多感な小学生ですから、家庭や学校で様々なストレスを抱えている」と話すBさん。なかには大声を出したり暴れたりする子どももいて、指導員みんなで声をかけ落ち着かせます。「まずは出欠の確認です。欠席の連絡を忘れたり、学校に居残っていたり、自宅にだまって帰ってしまう子もいます。学校の下駄箱を見に行ったり、小学校や保護者に確認をとったりです」。
子どもたちの過ごし方も様々。クラブ内には、一輪車や竹馬、コマ、けん玉、野球道具…。本もたくさんあります。そんな中で、宿題をさせたり、おやつを出したりで、指導員は毎日がてんてこ舞いです。迎えに来られた保護者には「子どもの様子や連絡事項を伝えます。保護者からお礼言われたり子どものことで相談を受けたりすることもあって、やりがいと責任を感じます」とBさんは生きいきと話してくれます。
「子どもが好き」で始めた仕事
Bさんは、学生のときスポーツインストラクターの仕事がしたいとスポーツジムなどの就職を探していました。市が放課後児童クラブの指導員を募集していることを母親から聞き、子ども好きだし楽しそうだと思ってこの世界に飛び込みました。いざ始めてみると、子どもの安全を守ることや育み・生活を支えること、保護者への責任、家庭との連携など、大変な仕事だと思ったそうです。この間、法改正などもあり、都道府県が発行する『放課後児童指導員』の資格も取りました。「資格を持った職員を2名以上配置しないといけなくなったので」と知事の名前の入った資格証を見せてくれました。最近では消防署の協力で救急救命の研修も受けられたそうです。「長岡京市では、子どもが来る前の午前中に時間を使って学習会や研修会を行っています。職員からも課題を提案しています。なかなか時間と予算が無くて苦労しています」とBさんは前向きです。
学校休校でもクラブは開所コロナ禍で住民支え奮闘
新型コロナウイルス感染症対策で学校が休校になったとき、放課後児童クラブは朝から開所することになりました。マスク着用・念入りな手洗い、換気・消毒、環境整備などを指示されますが「当初は方法もわからず、マスク・消毒液の準備も大変で、『密』を避けることに精いっぱい。保護者も急にテレワークとはいかず、いつもの6割から7割の子どもが来ていました」「机を向い合せて座らないようにしたり、学習の時間を設けたり、初めてのことばかりで、緊張して本当に大変でした」と振り返ります。
神足放課後児童クラブの児童数は現在100名以上。嘱託職員3人とアルバイト数人で支えていますが、人手が足りないのは明らかです。
2015年に子ども子育て支援法が施行され、「放課後児童クラブ運営指針」も策定されました。
Bさんは「私自身も結婚、出産し、子どもたちを保育所、放課後児童クラブに預け、本当に助かりました。法整備もすすみ学童の仕事が認められ注目されていると思います。住民の期待に応え、子どもが安心して過ごせる場所を提供したい」と笑顔で話してくれました。
京都自治労連 第1964号(2020年7月5日発行)より