機関紙 - 〈いのちの署名キャンペーン〉シリーズ コロナ禍の社会保障を 問う1…感染症に対応できない日本の医療
新型コロナ感染症の死者が世界で100万人を超え、感染者は3300万人に達するなど驚異的スピードで広がっています。新型コロナ感染症は、日本の医療・社会保障の脆弱性を晒す結果となりました。コロナ禍の社会保障を一緒に考えたいと思います。
医師・看護師の大幅増員と処遇改善を
日本国内で新型コロナ患者が急増した4月〜月、"医療崩壊の瀬戸際"という訴えが東京や大阪などの大都市圏で相次ぎました。
「医療崩壊」には、二つの側面があります(経済的医療崩壊問題は次号で)。
一つは、患者の急増に病床、医師、看護師の体制が追い付かない医療体制の問題です。政府が設置した感染症病床は1871床しかなく、感染拡大に耐えられない水準でした。
日本のICU(集中治療室)は、人口10万人当たり5床。ドイツは30床。イタリアは12床。医療崩壊が起こったイタリアの半分以下の水準です。
医師数では、日本は100床当たり18・5人、ドイツ51・9人、フランス51・8、イギリス108・1人、アメリカ93・5人です。少ない日本の医師数は世界で際立っています。
看護師不足も深刻で、100床当たりの看護師の数は、日本が86・5人、ドイツ159・1人、フランス168・6人、イギリス306・0人、アメリカ419・9人です。日本の看護師は、これらの国の2分の1から5分の1の水準にすぎません。長時間・過密労働と劣悪な処遇のもと、毎年10人に1人の看護師が職場を去っています。
慢性的な医師・看護師不足の現場に、新型コロナ感染症という特別に医師・看護師の配置が必要な患者が次々と担ぎ込まれ、医療体制は崩壊寸前に至りました。
政府は、直ちに破綻した地域医療構想をはじめとする医療政策を白紙撤回し、感染症拡大に対応できる政策へ大きく舵を切るとともに、医師、看護師をはじめとする大幅増員へ直ちに足を踏み出すべきです。
京都自治労連 第1967号(2020年10月5日発行)より