機関紙 - 京 深層水
菅政権による学術会議会員任命拒否行為が、違法であるとともに学問の自由を脅かすとして大問題となっている。菅首相は憲法15条1項の公務員の選定罷免権が国民固有の権利であることを根拠に正当と主張しているが果たしてそうであろうか。
憲法15条1項は、戦前の官吏の任免権が天皇にあったが故に侵略戦争を招いた痛苦の反省から、国民主権に基づき国民にあることを定めたものであり、具体的には国民の代表である国会において定められた国家公務員法、地方公務員法、学術会議法等の法律に基づき行われるべきものである。その法律に反して任命を拒否した行為こそ憲法15条第1項に違反した行為である。
もし、菅首相の言う論理がまかり通るのであれば、憲法第15条第2項の公務員の「全体の奉仕者」性が否定され、時の権力者の独裁を認めることに繋がる。「住民のための仕事がしたい」との初心を貫くためにも、公務員としてこの問題について発言しなければならない。(F)
京都自治労連 第1968号(2020年11月5日発行)より