機関紙 - 社会保障切り捨て、消費税大増税 一体改革は撤回を
『税社会保障と税の一体改革』と聞いて、「増税された分、社会保障がよくなるのでは」と理解していませんか?しかし、「一体改革」はまさに一体「改悪」であり、この国の社会保障制度を破壊し、消費税率の大増税を国民に押し付けるもので、地域経済とくらしを破壊するものです。
改悪ばかりの社会保障
野田政権は、「消費税増税は社会保障のため」と言いながら、社会保障の改悪を次々打ち出しています。年金支給開始年齢を3年で2・5%削減し(約2兆円の削減)、その後も毎年0・9%削減(6兆円〜10兆円の削減)。現役世代の保険料も大幅にアップ。
さらに、子ども手当の減額で4400億円。また医療でも、外来受診に1回100円程度の定額負担の上乗せや、70〜74歳の窓口負担の1割から2割への倍増(1900億円負担増)。介護保険の軽度の方の利用料の1割から2割への引き上げ(800億円)など改悪を狙っています。
消費税の大増税で経済・財政どん底
消費税は、収入のない人にもかかり、低所得者ほど負担が重く、高額所得者ほど負担が軽くなる最悪の税制度で、経済と財政危機をさらに悪化させます。消費税を5%に増税した前年度の1996年の税収は90・3兆円でしたが、2010年度は76・2兆円で14兆円も減に。消費税を5%に増税してした97年以降の14年間で、84兆円も税収が減っているのです。
中小企業 身銭で負担
消費税は、経常収支が赤字でも負担しなければならない税金。雇用の7割を支え、日本経済・京都経済の主役の中小企業・業者は、大企業の単価切り下げやデフレで消費税を価格に転嫁できず、身銭を切って負担をしているのが実態。「消費税が10%になればやっていけない」と反対の声が強まっています。
大企業 莫大な還付金
一方、「輸出企業は、消費税分を価格に上乗せできない」との理由から、大企業には消費税還付金制度があります。上位10社だけで8700億円にも。トヨタは、5年間で1兆3009億円もの還付金。消費税が倍になれば、倍の還付金が支払われます。トヨタは、国内販売分の消費税が還付金からひかれるため、1円の消費税も払っていないのです。
こうした真相を覆い隠すため、野田政権は、衆院比例定数80削減や公務員の人件費削減を宣伝しているのです。国民の声がさらに反映されない国会、行政サービスのさらなる後退につながります。
京都自治労連 第1770号(2012年2月20日発行)より