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機関紙 - 出口なき廃棄物処理 濃度規制と総量規制を 〜災害廃棄物の広域処理についての見解〜

出口なき廃棄物処理 濃度規制と総量規制を 〜災害廃棄物の広域処理についての見解〜

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組合活動
 2012/4/21 18:40

 4月13日、京都自治労連池田委員長、京都府職労連森委員長、京都市職労小林委員長は、府庁記者クラブにおいて「東日本大震災による災害廃棄物の広域処理についての見解」を記者会見し発表しました。記者会見では、震災がれきの受け入れを表明している府や京都市の姿勢が「住民説明・合意を無視した動きだ」と批判し、「『封じ込め、拡散させない』を基本とした対応」、「濃度規制、総量規制による安全の確保」「広域処理に関しての対応」「作業に直接かかわる労働者の安全対策」などについての提案をおこないました。
 新聞各社やテレビも注目、TVニュースや翌日の新聞各紙に報道され大きな話題になっています。
 「見解」の全文は京都自治労連ホームページkyoto-jichirouren.comでご覧ください。

十分な説明も住民合意もなく

 記者会見の冒頭、今回の見解をどうして作成したのかについて触れた池田委員長は、「被災地がれき処理についての府や京都市の対応は、全国でも異例なほど積極的なものとなっている。しかし、受け入れの前提としている大阪湾広域臨海環境整備センターでの海面埋立は、国が安全基準を作成しておらず、焼却灰を処分できない事態になっており、まさに『出口無き受入れ』状態となっている」と指摘しました。

 また、「府が関西広域連合分の焼却灰も含めて、瑞穂環境保全センターで引き受けるとしているが、元々の計画によると同センターは、通常の産業廃棄物だけであと4年でいっぱいになる。また、同センター建設時の住民訴訟和解条項では『廃棄物は安全無害に限定する』となっているが、こうした説明がなく住民合意もぬきですすめようとしている」と府や京都市を厳しく批判しました。

 そして、「災害廃棄物を受け入れる場合は、慎重な対応が必要であり、住民と地域の命と安全を第一とし、被災した地域の真の復興に資するものにするために見解を発表した」と述べました。
 「見解」の要約は次の通りです。

「封じ込め、拡散させない」を基本に

 阪神淡路大震災の災害廃棄物は、2年あまりで9割以上を処分し復興への足掛かりとしました。今回の大きな立ち遅れの主要因は、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染によるものであり、その責任は、東京電力と国にあることは明らかです。

 「放射性廃棄物は、封じ込め拡散させないことが原則」であり、災害廃棄物についても全国への拡散処理による希釈的対策を優先させるのは、日本全体に汚染を拡大するにほかなりません。

 災害廃棄物の処理に当たっては、復興への再利用の道を開くなど、被災地の要望に耳を傾け、実態に即したものとなるよう法整備、財政上の措置をとることが必要です。

濃度規制、総量規制による安全の確保

 放射性廃棄物の処分基準は、IAEA(国際原子力機関)等の基準により、放射性セシウム濃度が100Bq/?(ベクレル)以下を放射性廃棄物として扱わなくても良く、再利用可能としてきました。これを超える場合が、「低レベル放射性廃棄物」で、今でも厳重に管理されています。

 ところが、昨年8月、国は、災害廃棄物の焼却灰の放射濃度が8000Bq/?を下回る場合は埋立を可能とし、広域処理を推進するために80倍の基準を設けたのです。

 また、関西広域連合独自の基準、2000Bq/?が科学的根拠のある安全な基準なのか、大きな疑問と不安を抱かざるを得ません。
 地域と住民の安全のためには、濃度規制と同時に総量規制も必要と考えます。

 濃度のみの規制では、規制値を上回る災害廃棄物や灰を、規制値を下回る通常の廃棄物や灰と混合、希釈すれば容易に規制値をクリアすることができ、実質的に濃度規制を有名無実化することが予想されます。

 濃度規制はもとより処分場単位での量的規制や、移送・運搬、焼却場での撹拌作業など希釈的作業、測定におけるサンプル手法等についての規制などについても厳密化をはかり、明確化を図ることを求めます。

住民への説明・合意、労働者の安全を

 「放射性廃棄物は、封じ込め拡散させないことが原則」を全てのレベルで順守すべきです。今回のような非常時でも、国及び東京電力の責任において、近隣に抑え込むとともに、市民の生活環境に放射性物質が漏れ出すことのないように、国及び東京電力による集中的かつ長期的な特別な管理を維持・継続することが必要です。(以下省略)

〇住民が安心して生活するために対処すべき事項
  放射能に汚染されていない災害廃棄物など、安全性が確認されたガレキ等の広域処理については、専門家による委員会の設置のほか、住民への説明と合意が必要です。また、市民が将来にわたって安心して生活することのできるハード面の条件整備を行うことが必要です。(以下省略)

〇作業に直接かかわる労働者へ安全のために対処すべき事項
  災害廃棄物の運搬に従事する労働者、焼却施設で働く労働者、保管等に従事する労働者が安心して働くことのできる条件整備を行うことが必要です。
(以下省略)


京都自治労連 第1774号(2012年4月20日発行)より

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