機関紙 - シリーズ 発言3:北部の医療問題放置してきた現府政 いのち守る府政へ今度こそ転換を
北部の医療問題放置してきた現府政 いのち守る府政へ今度こそ転換を
京都医労連書記次長
塩見 正さん
昨年3月末、丹後医療圏の基幹病院である府立与謝の海病院の脳神経外科が、医師不在で休止となり、ただちに地域からは「脳外再開」「安心できる救急体制」を求め、住民の不安と怒りの声が吹き上がりました。京都府は、11月になってようやく、日赤などの協力を取り付け、与謝の海病院の脳外再開にこぎつけました。
しかし、この空白の7ヶ月あまりの間、もし休止にさえなっていなければ助かったはずの命があったのではなかったか―。その事に思いめぐらすほどに、再開したとは言え「いのち」にかかわる事態をまねいた京都府の責任は極めて重大といわざるを得ません。なぜなら、与謝の海病院の脳神経外科は、ある日突然休止になったのではなく、すでに数年前から徐々に医師体制が後退していたからです。その間、京都府は、有効な対策をとることもないまま、休止という事態に直面し、住民の怒りの声を前にして初めて真剣に医師確保の手を打ったとしか見えません。
京都府の統計によれば、山田府政が出発した02年から、最新のデータがある06年までの間だけでも、丹後・中丹の医療施設に従事する医師数は42人も減っています。06年は、京丹後市から産科の火が消えるのではないか、という事が大問題になった年です。
京都府は、ドクターバンクを立ち上げるなど、一定の対策を講じましたが、それ以前から京丹後の地域は、人口当たりの医師数が府平均の半分にも満たない医療過疎地域のまま、長年にわたり放置され続けていました。今回の与謝の海病院・脳外休止問題も含め、「いのち」に関わる事態にでも直面しない限り、北部の医療問題を放置してきた。これが山田府政の「医療政策」だったのではないでしょうか。
06年の産科問題以降で見ても、本来なら医大を支援し、医師養成に力を注ぐべきところ、効率優先で医大を独法化し、国の「構造改革」路線を礼賛して「いのち」を軽視し、開発と大企業応援に明け暮れてきた。こうした府政には、4月の知事選挙できっぱりと審判を下し、「ひと・いのち守る府政」へ、今度こそ転換を果たそうではありませんか。
京都自治労連 第1723号(2010年3月5日発行)より