機関紙 - 深刻! 北部の医師・看護師不足 "いのちの最後の砦" 〜自治体病院キャラバン〜
急がれる国・府の具体的対策
京都自治労連医療部会と京都医労連が共同で毎年取り組んでいる「自治体病院キャラバン」(北部地域)が9月12日、13日に行われました。今回のキャラバンには、自治労連中央執行委員の松繁美和憲法政策局長も参加しました。
直面しているいのちの危機
懇談では、医師・看護師不足問題が昨年以上に深刻な実態になっていることが明らかとなりました。ある病院では、昨年4人いた常勤医師が今年度は3人になりうち1人が産休に。現在は2人の常勤医と非常勤医師で体制を組んでおり、「常勤医師への負担は限界を超え、患者さんの『あの医師に診てほしい』等の要望に応えきれない。いつ爆発してもおかしくない」と落胆の表情。
また、ある病院では、勤務医が少なくなれば、学校や保育所、福祉施設などの健診や予防接種など、地域の生活を支える医師の役割が出来なくなる」「開業医も減っている」と医師不足の深刻な影響が訴えられました。
こうした深刻な状況の中でも、小児科医師が自治体病院の2人と開業医の合計3人となったある地域では、「この3人で地域の子どもたちの命を守らなければならない」と一番効率的な診療体制を相談、開業医も病棟の診察に協力するなど連携を強化して危機的状態に対応している話を聞くことが出来ました。担当者の「?私たちの自治体病院が地域住民のいのちの最後の砦?との気構えで立ち向かっている」との使命感にあふれた話がとても印象的でした。
看護師不足の実態も深刻です。打開のために各自治体や病院では、医学生・看護学生に対する奨学金制度や「夏休みのキッズドクター、ナース」の取り組み、学生の実習の受け入れなど様々な工夫が行われています。また、夜間看護手当や年末・年始手当などの条例化、新採看護師に就職援助金が支給されるなど、待遇面でも様々な知恵を出して奮闘に応える努力が行われています。
民間病院が、病棟の看護体制を維持するために、訪問看護・リハビリ事業から撤退する中でも、「自治体病院の役割」を掲げて頑張っていることも聞くことが出来ました。
消費税増税が危機に拍車
消費税増税については、「2倍になれば負担も倍になる。大きな打撃」と怒りの声が強く出されました。
与謝の海病院の『独法化問題』では、「北部医療全体を守る立場に立って考えてほしい」などの意見が出されました。
原発災害問題では、「府から、防護服や線量計、マスクなどが支給されたがまったく足りない」「応急措置はできても入院患者を受け入れられないのが実態」などと述べられ、大飯原発再稼働がいかに無謀なものであるかが明らかとなりました。
京都自治労連 第1784号(2012年9月20日発行)より