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大会宣言

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組合活動
 2020/9/28 19:16

本日、私たちは、第88回定期大会を開催し、代議員の活発な討論により、職場での要求実現とともに、今こそ住民のいのちと暮らしを守る自治体の役割を十分に発揮させることをめざす、2020年度の運動方針を決定した。

大会では、コロナ禍の中でさまざまな苦労がありつつも地域でのくらしと営業を守る取り組み、憲法を守る取り組み、職場から新型コロナウィルスとの闘い、非常勤職員雇止め反対の闘い、会計年度任用職員制度移行で処遇改善と合わせ組織拡大の取り組みなどの報告があり、職場人員闘争の結果新規採用を獲得、生計費原則に基づく賃金闘争での到達など、たたかってこそ運動と組織は前進するとの確信が広がった。

また、討論を通じて仕事に誇りをもち、いきいきと働ける職場環境をつくること、学習や自治研活動に取り組むことの大切さが確信となった。

いま、アベノミクスや消費税増税にくわえ、新型コロナウィルスの影響で国民生活が困窮を極めており、政府の支援策が求められている。しかし政府・与党は、野党の臨時国会召集要求に対し、「森友・加計」、「桜を見る会」、「元法務相夫妻逮捕」、「黒川検事長定年延長」などの責任問題や「アベノマスク」、「GoToキャンペーン」の不透明な事務委託予算の追及を逃れるために国会開催に応じず、無責任な状態にある。その裏では、自治体戦略2040構想の具体化、公共サービスの産業化などを着々と進めており地方自治を住民から奪い、壊そうとしている。

このような情勢のなか、今の政治を何とかしたいと願う市民と共同の輪を広げ、国民の声を無視する「安倍政治」から決別し、憲法をいかし、立憲主義・平和と民主主義を守る政治の実現に向けて大いに奮闘する。

私たちは、今大会で深めた運動の到達と展望に確信を持ち、住民のいのちと暮らしを第一に守ること、憲法が暮らしのすみずみまでいきわたる住民本位の地方自治を目指して自治労連運動を自治体で働くすべての職場に広げ、地方自治を守る運動に全力を挙げる。組織強化・拡大の運動で仲間を増やし、自治研活動や学習を積極的に取り組み、職場や地域から信頼される労働組合となるために全力で奮闘する。

以上、宣言する。

2020年9月11日
京都自治体労働組合総連合 第88回定期大会


京都自治労連 大会特集号号(2020年9月25日発行)より

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9月17日、ラボール京都会議室で2020年度自治労連共済京都府支部総会を開催し、運動方針、予算、支部運営要綱などを議論しました。

最初に、自治労連共済京都府支部福島功支部長から、「コロナ禍で奮闘する組合員の皆さんに心から敬意を表します。誰もが不安抱える中で、仲間同士の助け合い制度である自治労連共済は組合員に安全安心を与えるもの。京都府支部としても組織整備し、より充実した制度を組合員に提供したい」と挨拶しました。

運動方針の提案では、京都府支部小林竜雄事務局長が、「コロナ禍で組合員誰もが不安を抱えながら働いている。何かあったときの保障として、自治労連共済は組合員とその家族を守るもの。安い掛金で充実した保障の自治労連共済を職場に広げよう」と提起しました。

討論では、「組織共済(慶弔見舞金・祝金制度)を始めて組合の運動が広がった。若い組合員に共済を進めていきたい」「ライフステージに合わせた保険・共済の見直しを組合から呼びかけていきたい」「組合員に評判の個人賠償責任補償をもっと広げたい」「学習会の講師派遣を行ってほしい」など単組からの意見・要望が出されました。

討論のまとめで小林事務局長は、「キャンペーンの具体化や共済学校の開催など、単組の声を反映させながら進めていきたい。自治労連共済の加入者拡大のとりくみを組合の組織強化拡大の一つとして位置づけ、積極的に取り組もう」と訴えました。

総会前には「組織共済制度改定説明会」を開催。Webで自治労連共済本部清水一成副理事長から説明を受け、質疑応答しました。


京都自治労連 大会特集号号(2020年9月25日発行)より

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9月18日、「京都市持続可能な行財政改革審議会」の中止を求める学習会が、府市民総行動実行委員会の呼びかけで開催され80人が参加しました。

講師を務めた京都市職労の永戸有子中央執行委員長は、審議会の特徴について「市としてのビジョンは一切なく、危機感をあおり、老人福祉費、国保、敬老乗車証、学童う歯対策事業などを社会福祉の点検対象にしている」と説明。

審議会では委員から「地下鉄、上下水道のコンセッション、PFIの議論を俎上に」「マイナンバー普及で職員を減らせる」などの意見が出されていると紹介し、「コロナを口実に、自治体の役割の縮小と企業が稼げる自治体に京都市を変えようとしている」と審議会を厳しく批判。「今、必要なことは、市民生活や営業を守る支援。国の責任を明確にし、お金を出させること」「市民が声を上げ食い止めよう」と呼びかけました。

集会は最後に、地域での学習会や宣伝、ビラ配布などを行うことを確認しました。


京都自治労連 大会特集号号(2020年9月25日発行)より

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お知らせ

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組合活動
 2020/9/7 13:50

自治労連第42回定期大会

今年はWeb大会

日時:10月3日(土)

新型コロナ感染症拡大防止のためWebでの大会となります。


京都自治労連青年部 第55回定期大会

交流し、広げよう連帯のわ!

とき:10月10日(土)13:30〜
ところ:ラボール京都 第12会議室


 9条 京都のつどい2020〜講演&全体会〜

コロナ禍で明らかになった日本国憲法の価値
〜安倍改憲阻止とその先の運動を展望する〜

とき:10月3日(土)PM2時開会
ところ:龍谷大学響都ホール
(JR京都駅八条口徒歩1分 アバンティ9F)
講演:冨田宏治さん(関西学院大学法学部教授)

●お願い●
会場は300人定員ですが、コロナ感染防止に留意し、100人定員で開催します。参加される方は、FAX、メールで事前申し込みをしてください。 定員になり次第ホームページでお知らせします。
FAX:075-603-8135
メール:kenpo@9-kyoto.net


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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コロナ禍、住民の命と暮らしを守る取り組み、安心して働ける職場づくりの取り組みに、京都自治労連の各単組が奮闘しています。遅れていた人事院・人事委員会の民間給与実態調査が8月17日〜9月30日にかけて実施されています。夏季闘争から秋季闘争へ要求を結集し、学習を力に全組合員の行動で要求を前進させよう。

コロナ対応で頑張る職員を激励する勧告を
府職労が府人事委員会と交渉

8月12日、府職労は府人事委員会事務局長と交渉を行い、「コロナ対応で奮闘している職員を激励する勧告を」強く求めました。

交渉では、民間給与に追い付いていない職員の給与実態を明らかにするとともに、土木や畜産で定員を割り込んでいる状況を示し、人材確保の観点からも賃金改善を強く求めました。また、休日・時間外勤務での空調を適正に稼働させるよう、労働基準監督機関として任命権者に直ちに指導を行うよう求めました。

削減ありきの行政改革にストップ
京都市職労が申し入れ

京都市職労は、市当局が職員に「これまでのルールにとらわれない行財政改革を断行するため、具体的提案」を出すよう求めている問題で、「単に財政削減だけを求め、福祉やサービスを削れば住民の暮らしは苦しくなる」と追及し、財政効果のみを求める検討・議論は行わず、コロナ禍による一時的な財政問題については、不急の事業見直しにより解決を図るよう申し入れを行いました。

京都市職労では、住民がコロナ禍で苦しんでいる今こそ、生活を支える施策の充実と医療・保健所などの職員体制強化を行うよう取り組みを強めています。

評価制度は労使で協議を行い、合意を前提とすること
舞鶴市職労が人事評価制度問題などで交渉

8月4日、舞鶴市職労は、市当局が来年度本格実施したいとする「人事評価制度」と「分限」条例についての要求書の提出と交渉を行いました。

舞鶴市が実施したいとする「人事評価制度」の内容は、給与への反映ではなく昇格・昇級判定へ反映させると説明しています(係長以上はすでに給与反映【勤勉】が行われています)。「分限」条令については、降格・降給を明確化するもので、全職員を対象とするものです。

交渉では、評価結果の「昇格・昇任」への反映にあたり、「誰もが4級まで」の労使確認を優先事項とし、これまで通り保障すること。「分限」については、適用されるような事例が出ないよう、当局として手を尽くすこと。労使で協議を行い、合意のうえで実施すること。などを強く主張しました。舞鶴市職労では、交渉ニュースを作成し職場からの取り組みを強めています。

みんなの要求集めて働きやすい職場へ
城陽市職労が職場アンケート

城陽市職労は、住民のために安心して働ける職場づくりのために、『職場要求アンケート』に取り組んでいます。8月末現在、110人の職員から回答が寄せられています。

城陽市は、「府内自治体の中で最低水準の人員配置」と言われており、コロナ禍の中で住民の暮らしを守るために少ない人員で職員は懸命に奮闘しています。城陽市職労では、寄せられたアンケート回答を、要求書に反映させ大幅増員をはじめとする要求前進へ頑張っています。


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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京都市には移動図書館も含めると21もの市立図書館があります。この内、18の図書館が京都市生涯学習財団の管轄で、京都市からの派遣職員と財団で雇用された職員で運営されています。

今回取材したAさんは西京図書館で働く図書館司書。日頃の仕事や図書館司書としてのやりがいなどをAさんにお伺いしました。

本が好き!で始めた図書館のアルバイト

Aさんは大学時代に先輩から誘われて、京都市の中央図書館でアルバイトを経験しました。「本が好きな私には絶好のアルバイトでした」と話すAさんは、図書館のアルバイトをする中で、本に関わる仕事がしたいと、司書の資格をとって京都市の図書館を運営する京都市生涯学習財団に就職しました。

就職して7年。中央、下京、西京といくつかの図書館で働いてきました。Aさんは「地域に根ざした図書館ですから図書館ごとに利用者の年齢層や貸し出し図書の種類などが違ってきます」と市立図書館の特徴を語ります。

知りたい情報へのアプローチを提供

図書館の仕事は本の貸し出しばかりではありません。本の分類、データベース化、本の整理整頓、レイアウト変更など。

「開館時間中はできない作業も沢山あります」「TRC(図書館流通センター)がつけてくる分類だけではない分類番号を追加したり、検索しやすいようにキーワードを加えたりしています。

新しく購入した本や寄付された本はもちろん、すでに登録した本の見直しもあります」。

「利用者から『こんなこと知りたい』という漠然とした問い合わせがあります。希望に沿った的確な本などの情報を提供しています」とAさん。

問い合わせの内容は多岐に及びますが、利用者の希望する情報へ道案内するのが図書館司書の醍醐味と、仕事のやりがいに目を輝かせます。

図書館から地域に積極的に発信していく

Aさんの働く西京図書館には5・7万近い蔵書があります。「毎月、時節や時事のテーマを決めてテーマに関わる本をピックアップして展示しています」「図書館には古い本もあります。

内容はもちろん表紙絵や挿絵のきれいな本もありますので紹介したいですね」とAさん。これらの企画は、同じ図書館で働く司書らと相談して新しく打ち出しています。ネットで膨大な情報が出ては消えをくりかえしながら氾濫している中で、正確な情報を提供できるのが図書館の魅力の一つ。

「地域の皆さんの重要な情報・学習の場として、図書館の魅力を発信していきたいですね」とAさんは胸をはります。

今、図書館は、削減される予算と人員の中で、忙しい毎日ですが、本と人をつなぐだけでなく、住民の世代を超えて人と人をつなぐ場として、地域に根ざした図書館にしていきたいとAさんは笑顔で話してくれました。


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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今年の原水爆禁止世界大会は、新型コロナ感染症拡大防止のために、従来のような形ではなく、webによる大会となりました。

例年のように、組合員の皆さんの協力で千羽鶴を作成し、世界大会に参加する職場代表に託して「核兵器廃絶の職場の願い」を直接届けることが困難になりました。しかし、広島自治労連と長崎自治労連にお願いをして、原爆で犠牲になった両市の職員の慰霊祭と、平和記念公園に届けていただけることになりました。

多くの組合員の協力で、今年は、7200羽も千羽鶴を届けることが出来ました。

唯一の戦争被爆国である日本政府が、「核兵器禁止条約」を一日も早く批准するよう、ヒバクシャ署名の取り組みを強化しましょう。


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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自校式の学校給食が子どもや保護者に評判の精華町。長年現業職員の採用はありませんでしたが、今年4月給食調理員の採用がありました。今回は、調理員として4月から働き始めたBさんを紹介します。

子どもの笑顔がうれしい
コロナ禍でも工夫しながら

家族で精華町に引っ越してきたBさんは、精華町のHPで給食調理員のアルバイトを見つけます。「今までも調理員の仕事をしていましたので不安なく応募しました」とBさん。2年経って、今回の正規職員の募集にダメもとで応募したそうです。

Bさんは「採用されてうれしかったです。学校が休校で調理できない時期もありましたが、いざ調理が始まると、コロナ禍での感染予防対策も含めて忙しい毎日です」「今までは指示された調理をするだけでしたが、今は指示する立場。毎日、次の日の献立を見て調理の『予習』をして仕事に臨んでいます」と緊張感や責任感でいっぱいです。

「学校の様々な行事が中止になっている中で、毎日の給食は子どもたちにとって楽しい時間のひとつ」と話すBさんは「新型コロナウイルス感染防止対策で制限もありますが、盛り付けなど一つでも工夫して、給食で子どもたちが笑顔になって欲しい」と話してくれました。


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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京深層水

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 2020/9/7 12:50

7年8ヶ月もの長期となった安倍政権が終わりを迎える。

その間、2度にわたる消費税の増税、アベノミクスによる格差拡大、集団的自衛権行使の閣議決定、安保法制、共謀罪法、国家機密法など違憲の連発と憲法改悪策動、森友・加計学園疑惑、桜を見る会、検察庁法改正案など政治の私物化、河合元法相夫妻などの金権疑惑などなど、その罪過はあげれば枚挙に遑がない。それも結果を出すのが政治だとして、異なる意見には耳を傾けずに国会での数を力に次々と強行してきた。

安倍政権の功績を挙げるとすれば、その罪過が国民の政治的自覚を促し、市民的運動となり野党共闘を後押したことだろう。国民の政治的自覚はコロナ禍でいっそう高まっている。

コロナ後の社会がこれまでのような新自由主義にもとづく効率一辺倒の社会ではあってならないことに多くの国民が気づき始めている。来秋までに必ず行われる総選挙が新たな社会を築く第一歩となることを祈念してやまない。(F)


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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 いさじ・ともこ=
1981年 関西医科大学卒業 第一内科入局
1983年 済生会泉尾病院 勤務
1987年 弘仁会大島病院 勤務
1995年 伊左治医院 開院


国は過疎地医療の実態把握し
地域に合った制度運用を幅広く

中山間地、過疎地の地域医療・介護をどう守るのか。京都の大きな課題です。昨年11月に行われた「医師偏在解消フォーラム」(主催:京都保険医協会)での、笠置町のたった一人の開業医の伊左治友子先生のお話が大きな反響を呼びました。“あの人に会いたい”今回は、笠置町で住民の命と健康を守るために奮闘されている伊左治先生にお話を伺いました。

――先生が医師になられたきっかけ、笠置町でどのようなお仕事をされていますか

伊佐治 私の出身は大阪の堺市。母が町医者をしていて、小学校5年生の時に私も母のような医者になりたいと思ったのがきっかけです。関西医大を卒業後、勤務医をしていましたが、結婚で笠置町に来ました。義理の両親が医院をやっていて、子育てが一段落して、本格的に医院を手伝うようになり今日に至っています。

笠置町の人口は1300人、府内で一番人口が少ない自治体で、住民の多くが高齢者。笠置町の高齢化率は50%を超えています。

私は町で唯一の開業医として、専門の内科だけではなく、外科措置や慢性疾患の管理、乳幼児健診や集団予防注射、認知症サポート医、保育所・小学校・中学校の校医、町の様々な委員会にも参加しています。また、介護保険の認定審査会、障害者認定審査会などもあり仕事が詰まっている状態です。これらの仕事は、ここでは私がやらなければ誰もやる人はいません。

当医院では、午前中は外来診療、午後は訪問診療、訪問看護も行っています。県境を越えて、隣接する奈良市の周辺地域へも出かけています。2015年より笠置町から引き継いでデイサービスセンター、デイケアセンターの運営もしています。笠置町では、社会福祉協議会のヘルパー派遣事業はありますが、なかなかヘルパーのなり手がなく、デイケアセンターも来てくれるセラピストがみつかりません。

――地域医療の課題はどの様なことがありますか

伊佐治 年々独居老人、老々世帯が多くなっており、高齢者の暮らしを支える医療を限られた財政・人員体制の中で少しでもいいものを提供することです。

独居世帯、老々世帯が増える中で、いわゆる「孤独死」と誰からも見放されて亡くなる「孤立死」を分けることが必要と思います。

「孤独死」は、亡くなられる瞬間にだれにも看取られることなく亡くなること。しかし、毎日、ヘルパーさんが家に行って、看護師さんが訪問し医師が往診してちゃんと支えていたら、たとえ亡くなる瞬間は一人でも孤独死では決してない。独居の方、お年寄りだけの世帯では、24時間診ていることはできません。過疎地では、そのように考えないと、在宅で亡くなることは出来ません。

また、誰からも見放された「孤立死」がないよう、行政や住民の皆さんと地域ケア会議等を通して必要な対応を行っています。

――国は、医療・公衆衛生を削減してきましたが、どうお考えですか

伊佐治 今回の新型コロナ感染症拡大で、国も“必要なものは必要だ”と分かったのではないでしょうか。保健所も保健師もずいぶん減らしてきました。医療関係の予算や人員を減らしてばかりでは、何かが起こったときに対応できません。

厚労省は、昨年9月に公立・公的病院424病院を名指しし、医療提供体制を削減しようとしています。「医師が足りない」問題でも、医師を増やすのではなく「医師の偏在を解消すれば医師不足は解消できる」として、『医師偏在指数』を2019年に示しました。

しかし、現場の実態を反映しているとは言えません。例えば笠置町では、開業医は1医院、医者は私一人ですが、厚労省が示す人口10万人当たりの内科系診療所では、全国平均が43・85であるのに対して、笠置町は73・1です。これは、人口1300人に対して医師が一人だからです。また小児科系も皮膚科系も同様に全国平均を上回るのは、他に医院がなく、私の診療所がどちらも標榜しているからです。ところが、こうして数字にしてしまえば「足りている」としか見えず、当院が診療所を止めればすべてゼロになります。そうした現実を国がくみ取っているとは思えません。

――地域医療を守るために、国・府に求めるもの

伊佐治 まず、過疎地域の実態をしっかり見に来てほしいということです。国が何をすればいいのか見えてくるのではないでしょうか。

もう一つが、医療法や介護保険法などを、その地域に合った、一番合理的で住民に喜んでもらえる制度として運用できるように、ある程度の自由を認めるべきということです。

例えば、認知症で、デイサービスを利用されている方がいて、自分ではお風呂に入れなく洗濯もできません。徘徊があるので毎日来てもらわないと、どこに行かれたのか分からなくなります。着替えを預かって洗濯をして、お風呂に入ってもらって、毎日送っています。ところが、介護保険ではその洗濯サービスは本来ヘルパーが家に行ってするサービスなので、経費は出ておらずボランティアのような形で続けています。笠置町に、「ヘルパーが家で個々に洗濯するのではなく、デイサービスに来た時に洗濯物をもってきてもらってまとめて洗濯をする制度にしましょう」と提案したのですが、町は「それは介護保険では出来ない。財源がない」「独自サービスをつくったら、利用者負担になる」といわれました。

私は、田舎だからこそ現地の人々が色々知恵を出して考えた地域に合ったやり方を、もっと国は認めるべきと考えます。財源問題もあり、医師を増やし施設の建設が直ぐには難しいなら、せめて国は、地方に合った形で制度が運用できる自由を与えるべきです。

私の母は、「医者の代わりはいるが親の代わりはいない」と、忙しい中でも時間を割いて学校の行事などによく来てくれていました。笠置町に嫁いだ時に「あなたは、医者の代わりもいないところへ嫁いだのね」と言われたことを時々思い出します。

限られた条件の中ですが、ここでの医師としての仕事は私に向いていると思います。住民の皆さんに『笠置町で暮らしてよかった』と思ってもらえる街づくりに貢献できればと思います。


京都自治労連 第1966号(2020年9月5日発行)より

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