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現業評議会が、3月17日・18日の2日間、京丹後市のアグリセンター大宮と勤労者福祉会館で春闘討論集会を開催し、5単組27人が参加しました。
初日は春闘方針の提起、平和学習会として映画「この世界の片隅に」を鑑賞。
方針提起では上田雄一幹事(宇治市職労)が、「自分たちの生活を守り、やりがいをもって働き続けたい」と組合の大切さや住民生活の最前線で働く仕事への誇りやおもいを語り、具体的提案を行いました。
二日目は、全体討論をおこない春闘方針を全員で確認しました。
京都自治労連 第1916号(2018年3月20日発行)より
全京都建築労働組合 酒井 仁巳さん
今、建設産業に従事する労働者の減少が、大きな社会問題になっています。深刻な実態に国も重い腰を上げ、様々な施策を行ってきましたが、現場の労働者に届いていません。解決のために自治体の果たす役割は重要です。全京都建築労働組合の酒井仁巳書記長にお話を伺いました。
若者の建設業離れが深刻
建設技能労働者は、1997年の455万人をピークに減り続け、現在(2016年)は326万人。そのうち55歳以上の高齢者層が113万人で、全体の3分の1を占め、一方、29歳以下の若年層は全体の1割程度。これでは、建設産業の技術・技能が次の世代に継承されません。例えば京都全体で、10代の大工は20人しかいません。このような中で、後継者不足から廃業する建設業者が年々増えています。
若者の建設業離れの大きな要因に、低い賃金・労働条件の問題があります。
賃金では、京都府の男性労働者の平均年収は552万円ですが、建設労働者は359万円です。また建設労働者は日給月給が基本で、雨が降れば休みの場合が多く、その分、賃金は減ります。これでは、いくら「モノづくりの魅力」と言っても、若者は関心を示さず、親も勧めたくないでしょう。
賃上げではなく、ゼネコンのふところへ
私たちは、全国の仲間とともに国や自治体へ、賃金や労働条件の改善を求めて粘り強い運動を展開してきました。この間、国の認識は大きく変化して、2012年度以降、私たちの要求も反映した対策をいくつか行ってきています。
その一つが、公共工事設計労務単価(以後、労務単価)の引き上げです。労務単価とは、公共工事において、工事費の積算をする上で、労務費を算出するために用いられる職種別の賃金単価。
労務単価は、2012年度以降5年連続で上昇し、累計で日額5226円、29・8%も上がっています。2017年の労務単価は、日額平均2万2322円。約3割の賃上げとなれば、建設労働者の年収は、5年間で100万円以上あがっていなければなりませんが、実際は、日額600円程度の上昇に止まっています。
その一方で、大手ゼネコンは過去最高益を更新し続け、4年間でスーパーゼネコン4社の利益率は48・6%も上昇。若者の入職や建設業の未来のために投入された血税が、本来の目的の賃金に使われず、ゼネコンのふところに入って「ぼろ儲け」しています。
府は現場労働者の実態調査を
私たちは京都府に対して、府発注工事で労務単価の引き上げが、現場労働者の賃上げに使われているか、「実態調査」を行い、正しく活用されていなければ、是正を求めるよう強く要求してきました。
しかし府知事は、労務単価が上がったのだから「上がっているはずだ」を繰り返し、実態調査を行おうとはしません。千葉県の我孫子市では、行政と業者が一緒に実態調査に取り組み、?これはひどい?と認識が一致し、労務単価を賃金に反映させるために、公契約条例が制定されるなどの経験が生まれています。
労務単価を賃金に反映させることは、制度の趣旨を守ることであり、地域経済発展にもつながります。しかも府は、予算を使うことなく賃上げができるのです。
自治体の担当のみなさんに理解してほしいのは、入札において、落札価格が低くなればなるほど企業が削るのは、まず人件費だということです。
自治体は、使用者団体の声だけではなく、現場労働者の声を聞いて、労務単価の賃金への反映や公契約条例制定など、具体的施策すすめるべきです。
京都自治労連 第1916号(2018年3月20日発行)より
自治体の一番の役割は、住民のいのちと暮らしを守ること。私たちの願いは、「住民に喜んでもらえる仕事をしたい」です。そのためには、国にも堂々とものを言い、住民と職員が共同してまちづくりを進めることを後押ししてくれる知事が必要です。
安心して働ける職場を
いま、私たちの職場は、人員不足と不払い残業、長時間労働が蔓延しています。メンタル不調で休職者が後を絶たず、人事評価制度の導入など、職場もギスギスしがちです。現給保障の打ち切り、退職金削減など、モチベーションも下がり気味。安心して働き続けられる労働条件確立を後押しする知事が必要です。
首長の姿勢で大きく違う
各自治体では、疲弊した地域を元気にしようと中小企業振興基本条例や住宅リフォーム助成制度など、住民生活向上と地域経済回復に向けた努力が行われています。
京都府の役割は、こうした市町村の役割をしっかりサポートすることです。今こそ府民の暮らしを守り、市町村とともに汗をかく知事が必要です。府政が変われば職場が変わり、くらしが変わります。必ず投票に行って、府政を変えましょう。
京都自治労連 第1916号(2018年3月20日発行)より
3月8日、青いとり保育園不当解雇事件の大阪高裁判決報告集会が開催され、「棄却」の不当判決に会場は怒りでいっぱいに。原告団からは、最高裁へ上告して、たたかう決意が述べられました。
京都自治労連 第1916号(2018年3月20日発行)より
18春闘3.15全国統一行動
○時間外の職場集会・学習会に参加しよう
○各地域の取り組みに参加しよう
すべての単組で18春闘要求書を提出し、交渉を行おう!
京都自治労連 第1915号(2018年3月5日発行)より
京都自治労連は、2月19日から23日にかけて、18国民春闘での賃金・労働条件など職場要求前進をめざすことを目的として18春闘自治体キャラバンを実施しました。京都自治労連18春闘要求書に基づき、府内全自治体、および一部事務組合も含めた自治体関連職場の当局側と懇談・意見交換を行いました。
長時間労働なくし、「働くルール」確立へ
賃金課題では、多くの自治体で現給保障が3月末で終了となり、引下げとなる職員が生じます。これに対し、17確定闘争のなかで「引下げ幅を圧縮」「1年延長」など勝ち取ってきましたが、今回のキャラバンで「引下げになる職員への改善を検討している」と現在も改善措置を検討している自治体があったことは特徴といえます。
「働き方改革」にかかわって、裁量労働制の厚労省データの誤りや異常値が判明し、一括法案から削除されることになりましたが、高度プロフェッショナル制度や過労死ラインを超える時間外労働を認める上限規制は依然として法案に盛り込まれています。各自治体では、「80時間、100時間を超えないよう取り組みを強化」「PTをつくり、労働組合と一緒に計画を策定中」「長時間労働は健康管理の上で問題。月60時間をラインとして設定」など、長時間労働抑制への取り組みが出されました。
「会計年度」課題は温度差バラバラ
会計年度任用職員制度の課題では、各自治体での温度差が明らかになりました。「現行水準を後退させない」とすでに具体的に検討している自治体もあれば、「検討中」「まだ考えていない」「情報不足」、あるいは「マニュアル通りに進める」「実態把握のアンケートに取り組む」「財源が必要になるが交付税措置がどうなるか不安」など様々です。
総務省が示すスケジュールは、今年度末から「職員団体との協議開始」としています。法改正にともなう条例・規則改正は労働条件にかかわる重要事項です。「任期の定めのない常勤職員を中心とした公務運営」を基本としながら、2020年4月の制度移行に際し、任用根拠の見直しで雇い止めや現行水準を下回る労働条件とならないよう、雇用継続と処遇改善の第一歩とする運動の強化が必要です。
そのほか、地方創生や地方自治、住民要求にかかわる課題など、多岐にわたって懇談を行いました。
全単組で職場要求討議を行い、春闘要求書の提出・交渉で、要求前進をみんなの力で勝ちとりましょう。
京都自治労連 第1915号(2018年3月5日発行)より
2月25日、宇治市において南部自治体学校が開催され、50人の市民や自治体労働者が参加しました。
「近代日本から見た憲法と地方自治」と題して講演を行った本庄豊さん(宇城久地区労議長・立命館宇治中学校・高等学校教員)は、「明治150年キャンペーン」に抗して考えるキーワードは「自治体の平和の力」と語り、高知県四万十市の幸徳秋水を顕彰する活動を紹介しました。
秋水は、日露戦争のときに非戦・自由平等を唱えたために明治政府によって処刑されたジャーナリスト。彼の出生地の四万十市では、2000年に市議会が顕彰の決議を採択し、2011年には「自由平等、非戦平和を唱えた先覚者」として記念事業を実施。本庄さんは「これが自治体の平和の力ではないか」と紹介しました。
報告では、元京都府広報課の梶田富一さんが、蜷川虎三知事時代の憲法普及活動をめぐるエピソードを紹介。標語「憲法を暮らしの中に生かそう」の誕生秘話を報告しました。また、社会福祉士の仙田富久さんが「子どもの貧困〜自治体をどう動かすか」について報告を行いました。
京都自治労連 第1915号(2018年3月5日発行)より
すべての労働者の賃上げ、働くルールの確立を
3月1日、京都自治労連執行部は、山田府知事に「2018春闘要求書」を申し入れました。
対応した能勢重人課長は、「しっかり検討したい」としました。交渉日程が決まり次第、単組に連絡します。
京都自治労連 第1915号(2018年3月5日発行)より
国会で議論中の来年度予算案、過去最大規模となる中で、社会保障関係費は自然増分を大幅に下回り、各分野で縮減される内容となっている。その中で、当初、診療報酬も各分野で引き下げが言われていたが、診療報酬本体が0.55%増で決着した。大幅引き上げを求める医療関係者の運動が背景にあったと思うが、気になる記事を見つけた。
2017年12月19日付けの日本経済新聞に、20万票もの組織票をもち、自民党に多額の政治献金を行っている日本医師会の横倉義武会長と安倍首相が、古くからの付き合いで密接な間柄であり、0.55%への「上積みは横倉さんが自民党が下野したときも裏切らなかったことへの総理の恩返し」と厚労省幹部が語っている。安倍友厚遇は森友・加計学園問題だけではなさそうだ。しかし、そのために「国費600億円だけでなく、企業や個人が支払う保険料と病院窓口で払う患者の自己負担は計1600億円程度増える」(同上)のでは、国民はたまらない。慎重な審議こそ求められる。(F)
京都自治労連 第1915号(2018年3月5日発行)より
国による生産面積配分の中止や今年度から米の戸別所得補償廃止など、日本の農家を取り巻く状況はますます厳しくなり、地域経済の困難につながっています。農民組合京都府連合会副会長の上原実さんに、京都農業の課題や農家の現状、京都府や自治体に求められることについてお話を伺いました。
農業経営が成り立たない
農家にとって最大の問題は、価格が安すぎて農業経営が成り立たないことです。その要因の一つは、米価が低すぎて再生産を続けられないことです。
生産者米価の下落は、1994年の細川内閣の「米輸入自由化」をさかいに大きく下落。当時、60キロ1万6500円が、現在は1万3000円に。農水省の調査でも、米60キロ生産コストは1万6000円。これでは、作れば作るほど赤字になります。
もう一つが、民主党政権時に出来た戸別所得補償制度の全廃問題です。10aあたり1万5000円の補助が、安倍政権になって半額の7500円に減額。そして今年4月から全廃されます。後継者不足に拍車がかかり、米作りをやめる農家が後を絶ちません。
最後の砦の底が抜ける
この間、府内各地で田んぼの荒廃を防ぐために、集落での話し合いを積み重ね、集落営農から法人を立ち上げて、作り手のなくなった農地を引き受けています。これらの取り組みは、地域農業・農地を守る最後の砦と言えます。
しかし、多くの生産法人が、米の価格が安すぎて赤字に。この上、戸別所得補償が無くなれば、さらに深刻になります。経営規模が大きい法人や農家ほど、深刻です。まさに、最後の砦の?底が抜ける?事態です。
農家を支えるのが自治体の役割
今、我々が府に要求しているのが、一つは、政府が全廃する所得補償を府独自の施策で継続することです。新潟県では、17年度から所得補償のモデル事業で農業支援を行っています。
もう一つが、農機具の更新に対する助成制度。今の米価では、農機具の更新時の費用が捻出できません。
地域と農地・農業を守るために、頑張っている農家を支えるのが自治体の役割ではないでしょうか。
今年から、米の生産面積配分の責任を国が放棄したため、農家の中に不安や戸惑いが広がりました。しかし京都府からは、年末ぎりぎりになっても米をどれだけ作ったらいいのか方針説明がありませんでした。滋賀県は、「17年度と同じでいく」との方針を年初から示していました。府は「下から積み上げます」と言いながら、昨年末になっても一向に見えてきません。
かつて京都府は、京都食管など農家を支える独自施策を次々と行い、「西の農水省」と言われました。農家が困難に直面している今こそ、かつての姿を取り戻してほしいです。
京都自治労連 第1915号(2018年3月5日発行)より